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【南大沢土木構造物めぐり】No10 知られざる南大沢の最先端地下インフラ② 地域冷暖房関係の施設たち

表紙の写真、駅前の中郷公園から南大沢郵便局に向かう遊歩道に、一羽のウサギの銅像が鎮座しています。正直なところ、何故こんなところに唐突にうさぎさん?と、不思議に思っていました。

で、地下インフラと関係あるのか?

関係、あります。

実は、うさぎの下に、小さく白い文字で

「東京熱供給」

と書いてあります。
熱供給って何だろう?とピンと来ないかもしれませんが、

地域冷暖房

という、地域には欠かせないインフラです。いわゆる、街区内の冷暖房のエネルギーを1か所で集中してつくり、地下管路で結ぶイメージです。
地域冷暖房って何かがピンとこない方は、こちらを参照ください。

今から30~35年前に開発された南大沢は、当時の「未来都市」であったため、地域冷暖房完備の最新鋭システムが導入された、というわけです。このシステムを取り入れることで、省エネルギーにつながり、地球環境保全、防災力の向上などの効果が期待できるとのこと。

ただし、こういうシステムは、あまり表立ってPRされることはなく、文字通り「人知れず、ひっそりと」街を支えています。

では、南大沢の地域冷暖房システムを見てみましょう。
「一般社団法人 日本熱供給業協会」のホームページに、南大沢の地域冷暖房プラントと供給網が記されています。こういう地下管路網が、南大沢の地下にあるのでしょうか。少しだけ垣間見える場所を探訪してみました。

最初に紹介したウサギ。その下にルーバーのようなものが付いています。
地域冷暖房配管は、熱い蒸気の入った配管や、冷水の入った配管が地下を通っているので、それを冷却したり、空気を抜いたり、酸欠を防ぐための換気だったりという用途なのでしょうか?答えはわかりませんが、隣接する商業施設に接続する配管が埋設されているようです。

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歩道では、左の蓋には「電気」、右の蓋には「熱」という記載があります。「熱」が地域冷暖房の配管を指すようです。

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中郷公園から駅前広場に向かって下っていく階段の途中に、不思議な石のオブジェのようなものがありますが、そのてっぺんには不思議な円形の金属が載っています。そして脇のタイルには、「東京熱供給」の文字が。
こんなところにもさりげなく、人知れず、地域冷暖房設備を支える換気口があったとは。よほどその気になって目を凝らさないと、これは見つけられないのではないでしょうか。

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そして、ご紹介するのがここ。駅前の商業施設の駐輪場の脇に、「東京熱供給株式会社 南大沢南プラント」の文字が。この扉を開けると、地下への階段がつながっています。「管理事務所は地下2階」だそうです。商業施設のビルの地階に、地域熱供給に必要なプラントがあり、街の建物の空調機器向けのエネルギーを供給しているようです。

【おわりに】

今回は、地域冷暖房という、なかなかイメージできないような施設が南大沢の街を支えていることを紹介しました。最近の各地でみられる市街地再開発の際に、このような地域冷暖房施設が同時に整備されることは少なくありません。これらの施設は、都市の快適な生活を支えてくれる、都市ならではのインフラ施設といえるでしょう。たまには、普段目にしない地下インフラを学ぶことで、都市の中のエネルギー消費や環境問題などにも目を向けることができると良いと思います。



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