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【南大沢土木構造物めぐり】No.70 団地の中のコンクリートでできた樹のオブジェ
南大沢の街歩きをしていて、気になるオブジェを見つけました。近所に住んでいるのに、気にして歩かないと気付かないくらい、地元の人もその存在を知らない人が多いのかもしれません。そんなコンクリートでできたオブジェを紹介したいと思います。
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オブジェの場所は、「多摩ニュータウン 南大沢団地 南大沢4丁目」の入口にあります。1980年代に分譲された、多摩ニュータウン内の団地のひとつの区画の入口に建っています。普通に子供たちが遊ぶ広場のような場所になっています。
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樹の幹がコンクリートでできているのは、特に違和感はありませんが、特筆すべきは、枝葉の部分です。小梁のような枝に、非常に薄い葉っぱが付いています。
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葉っぱの先端は、おそらく3cm前後しかなく、これだけ薄いコンクリートを打ち込むのはかなり難しいかったと推察されます。葉っぱの先端には、緑や橙色の塗装がされています。
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直線的ですが、かなり複雑な形状をしています。どうやって作ったかを想像してみました。幹の部分に別途工場で打設した枝葉をつなぎ合わせたとも考えましたが、そのような継ぎ手が見当たりません。ということは、この形に型枠を組み立てて、コンクリートを打ち込んだと想像されます。その技術はとてもすごい職人技で、失敗が許されないシビアなものであったと想像されます。
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【広場の樹】
コンクリートで樹を創る
団地のために樹を植える 樹を育てる 樹を祭る
昭和60年3月
元々人工的な構造物のなかった南大沢の谷戸を切り開き、大きな団地を造成した際に、裸地になった場所に新たに街をつくり、そこに樹を植え、育てて大切にする。また、コンクリートで作った樹という、新たな団地の象徴を憩いの場に作るという、作者の意図があったのでしょうか。不便な場所を切り開いて新たに居住空間を作り、自然と共生させるという、多摩ニュータウンの考え方を形にしたオブジェなのではないかと思いました。
【終わりに】
団地の中にそびえ立つ、コンクリートでできた樹。約35年前に作られましたが、今では地域の住民を本当の樹のように静かに見守る存在になっていると思います。複雑な枝葉を場所打ちコンクリートで作り上げたと思うと、ものすごい芸術作品だと思います。
普通のコンクリートの橋も、建造後35年を経過すると、経年劣化等が話題に挙がるかと思います。団地の中のオブジェにも、じわじわと劣化が進行する日が近づくのではないでしょうか。この先人たちのこだわりと思いが詰まった樹を、何とか次の世代まで守り続けることができればよいと思います。
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