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🤱【あなたの為を思って】という罠〜おしり

前話⤵️

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専業主婦だった母は、時々セル画の色塗りの内職や、山野愛子のどろんこ美容の販売員をやっていた。
そのせいか、小学2年生のときには「夏休みの食事は自分で作って食べなさい」と言われた。
毎日3人分の創作料理を作っていた。
今では当たり前だけどお醤油とバターで味付けすると美味しくなると、このときに発見した。



後年クッキーやケーキも作るようになるんだけど、それまでは座卓に毎日3人分のおやつが置いてあった。
大抵は黒糖を使った何かだったり、パサパサした甘食だったりした。
クラスメイトの間ではチューインガムを膨らませるのが流行っていたが、ウチのおやつに出ることはなかった。
今はグミが大流行して、ガムは人気がないらしいね。



当時の朝食は8枚切りトーストと紅茶、少食だったからこれ以上は入らない。
ある日、母から翌日の食パンを買っておくように頼まれた。
お使いにも、割りと早くから行っていた。
屋号は知らない、神戸屋のパンを扱っているから「神戸屋さん」と呼ばれていたお店。
お菓子も売っていて、遠足の前には殆どの子がここでおやつを買う。
食パンは「8枚切りを1斤」と頼んで、長いパンをスライスしてもらう。



お釣りで風船ガムが買える。
友だちの家では、お手伝いをしたらお駄賃がもらえると言っていた。
アオキさんの家なんか、テストの点によってお小遣いが変わるらしい。
私は未だ親からお小遣いをもらったことはないし、パンを買うのはお手伝いだし、お釣りでガムを買ったらお駄賃になるのではないかな。
迷いながらお釣りでシール付きの風船ガムを買い、「どうしても欲しくなって、お釣りでガムを買ってごめんなさい」と母に言おうと思いながら帰った。



「お帰り」より「ありがとう」より先に「お釣りを出しなさい」と言われて驚いた私は、とっさにガムを隠そうとしてしまった。
スカートにポケットがなかったので、胸の前で腕を組みガムを隠した。
不自然な格好のまま「お釣りもらわなかったのかな?おばちゃんが渡し忘れたのかな?」と小声で言ってしまった。



どうして計画通りに「ごめんなさい」と言わなかったんだろう。
私にとって母は脅威でしかなかった。
母は私の腕を解いてガムを取り上げ「これ、どうしたの」と大きな声で言った後、私の返事を待たずに「こっちへ来なさい」と弟妹がいない部屋へ連れて行き襖を閉めた。




「何をしたかわかってるの?お尻出しなさいっ‼︎」
弟妹が欲しがる物は買っても、私が欲しい物は、絶対と言っていいほど買ってもらえない。
どうしてもガムを膨らませてみたかった。
悪いことをしてると解っているから、先に謝りたかったのに手遅れだった。



裸のお尻を母の掌がパチンパチンと何度も叩く。
「ごめんなさい」と言い続けても、母は私の口真似をするだけで手は緩めない。
痛みは我慢すべきものだと教え込まれているから大丈夫。
やり過ごしたら、次は母が謝る番だと知っている。



叩き疲れた母は、おもむろに私を抱きしめ「ごめんね、ごめんね、本当は叩きたくないのよ、ちゃりれれちゃんの為を思うから叩くのよ」と言うのがお約束。
「叩きたくなければ叩かなければいいのに」と思いながら黙って抱かれる。
父も弟妹も知らない2人だけの時間は、ことあるごとに繰り返された。



昔のプリクラ(加工してます)⤵️

🎶そんな〜時代も〜あ〜ったねと〜
由美•修•進(仮名)•亡父•妹•友人•私•H
ドレッサーのガラスの下に挟んでる



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