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vol.83モラハラ夫編【阪神大震災】我慢発うつ病行き〜回想録のような備忘録〜(画像添付2024/1/13)


こちらはフィクション小説です⤵️


👓セルフプロデュース

Hの仕事が忙しくなり泊まり込みが増え、自宅で寝ないことが増えました
「Hさんがお姉ちゃんのことを凄く良い奥さんだって褒めていたよ」と妹から言われて驚きました
「いつもいつも差し入れ有難うございます」「進くん(仮名。次男)のこと可愛いって言ってました」「ご夫婦仲が良いんですってね」とHの仕事仲間からも言われました
自宅へ一時帰宅するときにも手土産ひとつありません
洗濯物を出して着替えを持ったら直ぐに出掛けます
会話どころか顔を見る機会も殆どありません
Hは愛妻家の俺、子煩悩な俺、仕事仲間を気遣う俺が大好きなようです
Hの意識は自分が他者からどう見られるかに向いています
差し入れのことを全く知らない妻が、お礼を言われたらどんな気持ちになるのかを想像できないのです
Hのイメージを壊さないよう、どうしたらHの理想の妻で居られるかと考え努力する反面、釣った魚に餌をやらないとはこのことかとも思っていました

👓解雇

Hが唐突に解雇されました
詳細は避けますが、信頼していた先輩にスケープゴートにされました
(後年この先輩は悪行が判明し解雇されましたが、Hの信用回復までには至りませんでした)
雇用契約も社会保険も雇用保険もない職場でした
他人から好かれ頼られることが好きなHは口約束で働いていたのです
財閥系企業で働いた経験がある私からすれば考えられないことです
義両親も民間企業での就業経験はなく、元々楽観的なHの落ち込みは一時的でした
失職したとはいえ家業があるので、義両親にしたら息子に継がせる良い口実ができたのです


👓前夜

娘が小学3年生、長男が1年生、次男が1才、雪が積もった寒い日のこと
子どもが楽しめる近場の施設に久しぶりに家族で出掛けました
帰宅後、上の2人は疲れて早めに2階で寝ました
築30年木造住宅の2階の部屋は、半年前に子ども部屋用に補強•改修しました
何故かその夜に限ってパイプハンガーの傾きが気になりHに伝えると、深夜だというのに嫌な顔もせず1階の模様替えと家具の固定をしてくれました
漸く眠れると思ったら、今度は珍しく次男が夜泣きを始めました
抱いてあやすにも私が疲れていた為、ベビーベッドから抱き取り一緒に横になりました


👓阪神大震災1

突然ドカーンという爆発音(と思った)がしました
間を置かずに家中がギシギシと音を立てて激しく揺れました
驚いて次男を抱いてうつ伏せになりました
ボディボードのように揺れます
崩れた土壁が口の中に入ってきます
「何なのっ⁉︎どうしたらいいのっ⁉︎家が壊れるっ‼︎」と狼狽える私にHは「そのままでっ‼︎」と言って次男と私の頭まで掛け布団を被せ、上から覆い被さってくれました
揺れは止まったかと思っても断続的に続きます
真っ暗なので何が起きているのかさっぱり判りません
飛行機が落ちた?ダンプカーが突っ込んだ?爆弾が落ちた?
2階の様子を見に行こうと懐中電灯を頼りに Hだけが立ち上がりました
小さな灯りだけでは全貌は判りません
固定した家具は倒れることなく、模様替えのお陰で寝ていた上には何も落ちてきませんでした
次男はベビーベッドで寝ていなかったので難を逃れました
2階の子ども部屋も補強しておいて良かった…
柱が傾ぎ、壁が崩れ、テレビや炊飯器やレンジが落下し、食器は粉々に割れ階段が外れていました


👓阪神大震災2

Hが娘と長男を2階から降ろし少し明るくなった頃、電気が復旧しました
テレビを点けるとどうやら地震があったらしいということだけは判りました
着込めるだけ着込んで外に出ました
1月だというのに素足の人、寝巻きの上から掛け布団を被っているだけの人、ご近所の方々も外に出て来られました
東の方角には火の手が見えました
義父は神戸の店に泊まり込んでおり不在でしたが、義母の姿がありません
外から呼びかけても返事もありません
Hは不安がる私達4人を残し、ご近所の安否確認に行ってしまいました
お向かい宅の夫様が、皆んなに聞こえるようカーラジオを大音量でかけてくれました
外にカセットコンロを持ち出して「子ども達だけでも」とラーメンを作ってくれる方もいました
余震が続く中、Hがどこに居るかも判らず3人の子どもを連れたまま不安な時間を過ごしました


👓阪神大震災3

すっかり明るくなりました
どうやら火の手が回ってくる心配はなさそうです
返事がなかった隣家から漸く義母が出てきました
驚くことにきちんと着替えてお化粧をしてケロリとしていました
せめて呼びかけには返事をしてほしかったのに
1階が潰れた家、2階がずれてしまった家、屋根が落ちた家、ご家族が亡くなった家…
不思議だったのは斜面に立ち並んでいる家々が下向きに傾いているのに、我が家だけが上向きに傾いたこと
平行四辺形のように変形して土台から持ち上がり、他家に寄りかかり危うくバランスを保っている状況でした
後日、全壊の認定を受けました
避難所が開設されたというニュースが流れ、夕方にはご近所の方も三々五々移動して行かれました
避難所に居た方が情報が入りやすいし、救援物資が届きやすいからです
「私、あんな所で皆んなと寝るのは嫌」「○○さん(義父の妹宅)の所に行きましょうよ」と義母が言い出し、ご近所の方とはバラバラになりました


👓阪神大震災4

抱っこバンドで次男を抱き長男の手を引き、瓦礫だらけの暗い道を娘と歩きます 
普段は徒歩では行かない距離です
Hは義母宅の1升炊きの炊飯器を持っています
中には義母が炊いた温かいご飯がいっぱいに入っています
倒れた電柱や高架橋が落ちた道路や壊れた車や家を見ながら凸凹道を行きます
携帯電話が普及していないので公衆電話には行列ができています
辿り着いた○○さん宅には、既に息子(Hの従兄弟)のフィアンセやご近所の知らないご家族が避難していました
○○さん宅のエリアでは未だ電気が復旧しておらず、冷凍していた豚肉をカセットコンロで加熱し義母のご飯を皆で分け合って食べました
神戸に居る義父の無事も確認できました


👓阪神大震災4

○○さん宅の家屋に被害はありませんでした
基礎工事だけで半年かけたというご自慢の住宅で、建具の歪みもありません
洋酒やメープルシロップの瓶が割れカーペットがベタベタになった程度です
翌朝からは手分けして情報収集と水汲みと買い出しの毎日です
Hは率先して出掛けて行ってしまうので、知らない人達の中に取り残されてしまいます
知らない大人達の間で、1才の次男を泣かせないように多動で好奇心旺盛な長男を大人しくさせるようにと神経を使いました
○○さんの夫(Hの叔父)からは「修君(仮名。長男)がウロチョロするのを何とかしてくれ
あなた達は親戚だからいいけれど、他人(ご近所のご家族)には長いこと居てもらっては困るんだ」と耳打ちされました
暗に私達も邪魔だということを知らされた訳です
今更避難所には入り込めるスペースはありません
早急に次の行き先を考えなければならなくなりました


vol.84に続く


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