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ちゃりれれ【時々ジャイアン】
2023年6月8日 01:10
全話収録フィクションです⤵️前日譚•原案ノンフィクション⤵️9.嫉妬 パート介護職員の前田麻子は、職場の異動と末息子進の大学進学が重なり疲れていた。異動したばかりのユニットでは「入学式だから休みたい」とは言い出せなかった。夫から進の入学金や授業料について「今は払えないけど必ず払うから一時的に立て替えておいて」と言われたのが心配の種。会社を辞めても生活は変わらないと豪語したくせに。
2023年6月9日 00:01
全話収録(フィクション)⤵️前日譚•原案(ノンフィクション)⤵️10.罠 次男進の大学から封書が届いた。 「もう後期の授業料かぁ…」麻子のパート収入、長女由美が毎月入れてくれる5万円、つもり貯金で払えない訳ではない。長男修は生活費こそ入れてくれないが、アルバイト先のスーパーでお米や野菜を買って帰って来てくれる。それも絶妙なタイミングで。進は定期代や昼食代を自分で賄っている。
2023年6月10日 01:12
全話収録(フィクション)⤵️前日譚•原案(ノンフィクション)⤵️11.落とし穴 「前田さん、良かったね」「もしかして未だ知らないの?」朝から口々に言われるんだけれど?前日が休みだった麻子には何のことだかさっぱり判らない。 「谷川課長、本社に異動だって」まさか、本当?社内メールを確認したいが各ユニット2台しかないパソコンは夜勤明けと早出の職員が介護記録を入力するのに使っている。
2023年6月15日 00:24
全話収録(フィクション)⤵️前日譚•原案(ノンフィクション)⤵️12.波乱 パート介護職員麻子の休職は2ヶ月半に及んだ。勤務中の怪我なので労災だ。給付金は支給されるし医療費負担もない。当初は痛みで眠ることも自力で移動することもできなかったし、まさか自分が労災で休職するなんて夢にも思っていなかった。 浴室清掃中に呼びかけられ排水溝に踏み外した右脚は、グレーチングを受けるステンレ
2023年6月16日 00:52
全話収録(フィクション)⤵️前日譚•原案(ノンフィクション)⤵️13.車酔い 労災から復職した前田麻子は、デイサービスで働き始めた。管理者に対しては嫌な感情を抱いてしまったが、職員は概ね歓迎ムードだった。有料かデイかには関係なく職員には以前から挨拶をしていたし、休憩時間が一緒になると他愛ない世間話をするくらいには親しくしていたのが好印象だったようだ。右脚の傷口は塞がっていたが、痛
2023年6月17日 04:41
全話収録(フィクション)⤵️前日譚•原案(ノンフィクション)⤵️14.昇格 前田麻子がデイサービスに異動になってからの2年間で、職場も家族も随分と変わった。 夫は出張の予定を家族の誰にも伝えなくなった。勝手に行って勝手に帰って来る。その前段階だったのだろう。麻子が準備した食事に手をつけなくなった。 ベテランパート職員の離職が相次いだ。ご家族の転勤に伴う退職なので恨みようも
2023年6月19日 00:22
全話収録(フィクション)⤵️前日譚•原案(ノンフィクション)⤵️15.ご褒美と戸惑い 介護保険上、デイサービスは「通所介護」とよばれている。 介護保険を管轄しているのは厚生労働省で「介護保険法」という法律があるが、都道府県•市町村によりローカルルールのようなものがある。 前田麻子の職務である「生活相談員」というのは、主にご利用者とご家族と担当ケアマネジャーの間の報•連•相を担う。
2023年6月29日 01:04
全話収録(フィクション)⤵️前日譚•原案(ノンフィクション)⤵️16.表彰 前田麻子は明日行く予定のケアマネジャー事業所の住所と PC上の地図を見比べては、いかに効率的に営業回りができるかをシミュレーションしていた。 麻子がデイサービス生活相談員になった当初、前管理者が営業を一手に引き受けていたから、まさか自分が外回りをするとは思ってもみなかった。 社用車の研修は受けていない。そ