見出し画像

シンシアブルーで遊びごころのある食卓を

ー五感で味わうアートの世界ー


以前、お祝いごとがあって念願のお店のディナーに連れて行ってもらったことがある。

原宿にある「シンシアブルー」

サステナブルなシーフードを取り扱っていて、前菜が全て食べ放題のテーブルビュッフェのレストラン。

さらにはミシュランレストラン「シンシア」の味をリーズナブルに楽しめるということでも話題のお店。


このお店のことを語り出したらキリがない。

しかしここに辿り着くまでが長かった。


本屋さんで立ち読みしていた「SWITCH 2018年9月号 フードカルチャー 東京の100皿」という雑誌に載っていたたい焼きの写真(サムネのもの)に目を奪われたのが2年前のこと。

その写真に一目惚れした私は生まれて初めて雑誌を買い、家でじっくり読むことにした。

そしてそこでもう1人、すごい人に出会った。

今でも大好きな平野紗季子さんというフードエッセイストの方。

この本の中で、こんな言葉を残していた。

「私は、食を総合芸術のひとつだと思います」


私はこの言葉で食べ物の新しい世界を知った。

この世には私の知らない食の楽しみ方があったことを知った。

今こうしてnoteで楽しく食についての記事を書けているのは間違いなくこの方のおかげ。

となると、今の私がいるのはこのたい焼きのおかげということになる。


そんな運命的なお店が、ここ「シンシアブルー」だったのだ。

(正確には雑誌に載っていたのはシンシアブルーの姉妹店の「シンシア」の方でした。)


・・・

でもこういう芸術的な料理はお高かったりする。

決して日常的に手が届くものではないし、なんなら非日常でも手が届かないようなもの。


しかしこのときはどんな贅沢をしても許されるような頑張りをした後だったので、「今行かなきゃ二度と行けない!」と思って突撃することにした。


・・・


1ヶ月前くらいに予約サイトで予約をする。

この段階からすでにドキドキして鼓動が早まっていた。

すんなり予約が取れてしまった。

歓喜。


・・・


そして当日、緊張して早起きする。

気長に夜を待つ。


・・・


前菜のビュッフェが始まった。

次から次へと並べられる手の込んだ前菜は全て食べ放題。

画像1

画像2

こんな感じに。

(右下に写っているのは梅と巨峰とローズヒップのモクテル。)


1周したら好きなものをおかわりできるというシステム。


ここから先は写真を中心にお楽しみいただきたい。

(というのも、この日、食べたもの全てが私の理解の範疇を超えていたため、私の頭には残っているものがほぼないのです、、。)


1皿目には「マイススープ」を選んだ。

画像3

コーンと塩と水だけしか使っていないスープ。

とうもろこしの甘みが際立っていた。


2皿目には「FIPビンチョウマグロと焼き茄子」

画像4

なすとトマトとまぐろ。

ソースがスモーキーというかなんというかで、煙の味だった。

(この味を表すぴったりな語彙を持ち合わせていない、、)

さっぱりしていて夏のまだまだ明るい夕暮れ時にぴったりだった。


3皿目には「バーニャカウダ 蟹味噌のソース」

画像5

色とりどりの珍しい野菜たち。

蟹味噌ソースにディップして食べるのだが、このソースがとんでもなくおいしかった。

えびせんを100倍に濃縮しました、みたいな濃い味。

(蟹なんですけど、、。)


4皿目には「長谷川さんのカルパッチョ」

画像6

長谷川さんってなんのことだったっけな、、

漁師さんの名前だったか、魚の名前だったか、それすら思い出せない。

エディブルフラワーまで散らされていておしゃれ。

(エディブルかどうかは自分で決めた。)

ジェノバオイルがいい。


5皿目には「海老と桃」

画像7

その名の通り、ぷりっぷりの大きい海老と桃に、フロマージュブランと赤紫蘇のアイスをかけて食べる。

ほんのり酸っぱかった正体はマンゴービネガーだったらしい。わからんよ、、。

(後からシェフの方のインスタを拝見して知った。)

桃のとろける甘さとスモーキーな海老の味がした。


6皿目には「ローストビーフ」

画像8

和歌山だったか岡山だったかの牛肉がもりもり。そこに揚げナスが添えられている。

分厚いのに柔らかくて、ロービーも揚げナスも抜群においしいからエンドレスで食べられた。


7皿目には「炙りと柑橘」

画像9

カブと柑橘と木の芽のソース(というかモヤモヤしてる霧みたいな何か)で食べるキンキンに冷えたお魚。

これまた複雑な味がして、理解が追いつかない。

この辺で理解しようとするのを諦めた。


8皿目には「うさぎの最中」

画像10

見た目がなんともキュートな最中。パン粉の上に佇んでいる。

中にはいちじくのコンフィチュールとフォアグラが入っている。

食べるのがもったいなくて、パン粉の上をとっとこ走らせたりしてみた。


9皿目には「キッシュロレーヌ」

画像11

フレンチのお店だからなのか、シンプルなフランス料理も登場する。

小さいのに満足感があって、いいバターを使っていそうな濃厚なおいしさ。


10皿目には「バンガシウスのグージョネット」

画像12

マクドナルドのフィレオフィッシュと同じで、どこかの認証を受けたサステナブルな魚を使っているらしい。

ふっくらしている白身魚。

岩は食べられません、と言われた。

(え〜〜そうだったの!!)

上にかかっているアンチョビソースがぐっと一皿を引き立てていた。


11皿目には「銀鱈とイカ墨のブランダード」

画像13

イカ墨のパン粉のコロッケ。

理解不能すぎてもはや何も記憶にない。

(おいしかったのですが、、。)


12皿目には「燻製銀鮭の低温ロースト」

画像14

半生っぽい鮭に黄色い謎ソースがこれまたおいしい。

痛風の心配をしそうになるほどうまみがぎゅっとしている。

なんとなく鮭といくらっぽい味がするソースだった。


13皿目には牡蠣のムニエルご飯

画像15

こちらはメニュー表には載っていなかったのでおそらく日替わりメニュー。

CDを聴いていたら思いがけずシークレットトラックが流れてきた瞬間みたいな気分になった。

そしてこれが多分今回一番おいしかった。

魚沼産コシヒカリらしい。つやつやしていた。

これも何がどうなってこの味になっているのか全くわからなかったが、とにかくおいしかった。

めっちゃレベルの高いキャンプ飯とかにありそうだなと思った。

(めっちゃレベルの高いという枕詞がついているのでこれは褒め言葉です。)


14皿目にはきはだまぐろのアヒージョみたいなもの

画像16

これまたシークレットトラック。

ソースがかかっていたからアヒージョとは言わない気がするけど、だとしたらこれはなんだ?

ギラギラしている見た目同様、ギラギラしたおいしさだった。

下に隠れていたベーコンもおいしかった。


ここまでで前菜タイムが一旦終わり、メインディッシュがやってくる。


15皿目の「ASC真鯛のたい焼き」

画像17

たい焼きはなんとパイ生地。

サクサクのクロワッサンみたい。

そしてたい焼きの中にはなんと!ちゃんと愛媛産の鯛が入っている。

なんともハイエンドなたい焼き、、。

スープは貝と牛乳でできているらしい。


そんなメインと一緒に食べる「発酵バターの特製ブリオッシュ」

画像18

スープをつけて食べたらもう勝手にフランス人になれちゃった。


それと一緒に飲む自家製コーラ

画像19

コカコーラ以外のコーラを初めて飲んだらびっくりするほど別物だった。

体に良さそうな爽快感。

これはハマる。


・・・


そして全部一通り食べ終えた後は、もう一度前菜に戻ってお気に入りをオーダーする。

(至福のアンコールタイム)

フレンチって小ぶりなコースが多くて高い割には満足感がないイメージだったけど、ここではそんな心配をする必要もない。

もう無理だ、、!と思った頃に、最後のデザートが登場する。


「本日のスフレとメロン」

画像20

焼きたてのスフレ。

その横にはメロンとメレンゲとクリームチーズのアイスのかけらたち。

このかけらたちはドライアイスでできているらしくて、「食べると鼻から煙を出せますよ」と教えてもらった。

軽やかでさっぱり。


・・・


あっという間に20時のクローズの時間になってしまった。


見て楽しくて、食べて楽しくて、こういう遊び心のある食事って素敵だなと思った。

何が起こっているのかわからない味にもたくさん出会えた。

味わおうと思えば思うほど迷宮に迷い込んでいった。

未知の世界に出会えたことにワクワクした夜だった。


・・・


次の日の朝、シンシアブルーでお土産に買ったカヌレを食べた。

画像21

大きくてこんがりしていておいしかった。

前夜の興奮が冷めやらぬうちに、また気分が上がってしまった。

・・・


海には約4000種類の魚がいるらしい。

でもそのうち私たちが普段食べているものって大体50種類くらいだけらしい。

シェフの方が教えてくれた。

知らない世界があるということは、自分の世界が広がる可能性がまだあるということ。


これだから魚は、海は、食は、奥が深くておもしろい、と思った。


・・・

#シンシアブルー #東京 #原宿 #魚 #SDGs
#食エッセイ #食 #食生活 #料理 #エッセイ #日記 #大学生 #グルメ #フード #フードエッセイ  #おいしいお店

この記事が参加している募集

おいしいお店

貴重なサポートありがとうございます💌 ちょっと背のびしたお店に行くのに使わせていただきます!