選手は俳優と同じ!?パフォーマースキルを磨いてタフな選手になろう!
みなさん、タフな選手になりたいですか??
タフ(Tough)って、「たくましい、丈夫な、粘りのある、頑丈な、不屈な、頑固な、強靭な」という意味があるから。きっとタフな選手は、肉体的にも・精神的にも強い選手ってイメージですよね!
「とにかく厳しい練習と厳しいトレーニングを積んでいたらタフになりそうだけど・・・」
「タフな選手になりたい気がするけど、どうやったらタフになれるのかよくわからない」
などなど、私も一生懸命頑張っていれば、タフになれるのかなーなんて、選手の時ふわっと思っていました。
はい。そんなふわっとしたタフに対するイメージに、ビシーッとメスを入れてくれるのが、世界で活躍するトップアスリートを栄光に導いてきたスポーツ心理学の権威のジム・レーヤー博士の著書『スポーツマンのためのメンタル・タフネス』なんです。
科学的な根拠と数々のアスリートの事例が盛り込まれ、「こうすればタフな選手になれる!!!」と教えてくれます。正直、この本は最初から最後まで読んだ方がいいです。私は全部を読んで、自分が強くなりきれなかった理由が丸見えになりました。現役の選手に伝えたい度MAX。
大事なところ全部取り上げるとめちゃめちゃ長くなりますんで、今回は「これはすぐにやらねば」とビビッときた「パフォーマースキル」のところに絞ってまとめます!
タフになるには
まず、レーヤー博士ははっきり言ってくれているんです。タフな選手になりたいなら『タフネストレーニングをすべし』と。タフネスとは
試合状況がどうであろうと、才能とスキルの上限に近いところで安定した力を発揮できる能力のこと
を指します。で、タフネストレーニングって何かというと
人間が持てる力をより効果的に発揮できるように、肉体面・精神面・感情面のあらゆるストレスに対処する能力を向上させる技術と科学のことである
と言っています。
要は、「タフネス」をモノに例えるとしたら、パソコンのCPUみたいなもんです。パソコンって、ハード(キーボードとか画面)とソフト(WEBブラウザとかパワポとか動画制作ソフト)がイケていても、パソコンの心臓部であるCPUがイケてないと、ちゃんと動かないですね。動きが遅かったり、フリーズしたりする。そうすると、仕事ができないし、良い資料も良い動画も作れないです。
選手も同じで、ハード(肉体・筋肉・スタミナ等)とソフト(競技スキル・戦術など)が揃っていても、それらをコントロールするタフネスがイケてないと試合で良いパフォーマンスが出せないってことです。だからより高いパフォーマンスを発揮するには、「ハード×ソフト×タフネス」を鍛える必要があるんです。どれかが欠けていたら、最大のパフォーマンスは出すことができないということになります。
タフネスの特徴
そしてレーヤー博士が示したタフネスの特徴にはこのような点が挙げられます。
①誰でも習得できる
:遺伝とは全く関係がない。後天的に得られるもの
②才能と技術を発揮できるようになるためのもの
:選手の「可能性」は才能ではなくタフネスの有無が大きく影響している。
③調子が良い時に感じる理想的な心理状態のこと
:自信、リラックス、ポジティブ、モチベーション高い、集中、楽しい等の状態
④試合中どんな状況でも『自分に力を与える感情』にアクセスできる力
:感情を絶えず良い状態に保つことができる
ふむふむ。
「えーわかったけど、本当に鍛えられるのかな、、、なんか現実的な感じしないな、、、」
なんて油断していてはいけません。レーヤー博士はそんな私の心を見透かしていたかのように、本で指摘してくれました。
「感情は神経科学的な現象だから物理的なものだし、思考も脳内の電気化学的現象だから物理的なものだ。だからタフネスも物理的なものである。しかし、思考や感情やタフネスは目で見ることができないから、重要なものだと考えていない選手が多い。はっきりさせておくが、思考も感情も物理的なものであり、技術や肉体と同じくらいリアルで成功の基礎となるものである。」
ぐさーっ。
はい、すいません。私タフネスを鍛えることなく選手生活を終えました。ハードとソフトを頑張って鍛えてましたがね。。。
選手は俳優
レーヤー博士が『タフネス』を向上させるために、重要なポイントとして挙げているのは「感情を制するものは、肉体も制する」という原則です。どんな状況でも、自分の感情を適切な状態に保つことができれば、パフォーマンスが安定し、最大限の力が発揮できるようになるということ。逆に言えばそれほどまでに自分の『感情』が、パフォーマンスが影響を与えるということですね。
そして、そんな感情をコントロールするためにトレーニングすべきスキルをいくつか紹介してくれているのですが、私が最も目から鱗飛び出したのは「パフォーマースキルを磨け」というメッセージでした。
ちょっと衝撃的なことにレーヤー博士は「選手は俳優である。」と言っています。選手と俳優は同じだということを研究の中で明らかにしたんです。どういうことかというと、、、
一流の俳優や女優は、表現したい感情に合わせて顔の筋肉を動かすだけで、本物の感情反応を引き出すことができる。
つまり
自分が本当はどう感じているのかに関係なく、必要に応じて台本に書かれた感情になるための、科学物質を思い通りの方向に動かす能力を身につけている。
そうです。そして、一流の選手も試合中、自分がほんとうはどう感じているかに関係なく、常に自信を持ち、エネルギーに溢れ、リラックスして、チャレンジ精神をよみがえらせる能力を身につけているというのです。
世界で活躍するトップアスリートたちも「ほんとうの自分」は、一般の選手と同じように、不安、怒り、恐怖、失望、緊張、無力感を感じているそうです。しかし、試合になれば自分に力を与える台本に沿った「演じるべき自分」を演じて、ポジティブな闘争心に溢れた感情を引き出すことができる。
このように、どんな状況でも、必要に応じて自分が表現したい感情を引き出すことができるスキルを『パフォーマースキル』と呼ぶのです。
パフォーマースキルを鍛えよ
で、このパフォーマースキルを身につけるために必要なポイントを3つ示しています。
①想像するスキルを磨く
②肉体的演技をするスキルを磨く
③その感情になるための練習を何回も何回もする
これ例えば、「今から1分以内に涙を流せば、100万円あげます。はいスタート。」って突然言われたらどうするか、考えるとわかりやすいんです。
きっと
①過去の悲しい出来事を思い出して、
②目をうつむかせ、肩を落とす
のではないでしょうか。でも、演技の練習をしたことない人間は、いきなり泣けって言われても泣くのは難しいですよね。やっぱりこれを何回も練習しないとできない。
これを選手に置き換えて考えれば、目的は「試合中どんな状況でも最大限の力を発揮する思考・感情になること」そのために
①試合で引き出したい一番ベストな気持ちを具体的に想像する(例:相手にリードされても、チャレンジするって考てるときが一番いいプレーができる)
②どんな行動をしているのか(例:試合中の頭の位置、姿勢、表情、歩き方などのボディーランゲージ)を具体化して、想定されるあらゆる試合場面を台本に落とし込む
③その台本の演技を練習試合のときから何度も練習する
ってことですね。わー選手の時に知りたかった(泣)。
「でも、人によっては演技なんてしたくない、演技する方がストレスが溜まるのでは」
なんて思っていたら、レーヤー博士はそれを見透かしていたかのように、本の中でがっちり釘を刺してくれました。
「演技なんてできない。自然体でいたい。そういうことは好きじゃない。」などという選手は、台本への理解とそれを実行するパフォーマースキルが欠けているだけ。責任逃れをしているだけだ。
ごーーーーーん。私の考えがあまかったーーーーー。
まとめ
このようにレーヤー博士は明確な根拠を提示しながら、タフネスを磨くための方法を明らかにしてくれているんです。確かに、レジェンド的なトップアスリートのプレーを思い出してみると、彼らの多くが、自分の感情をコントロールできていて、タフネス磨かれているなあと感じませんか。
そしてこれはレベルには関係なく大事なことだと思うんです。タフネスをトレーニングしていなくて、試合中パフォーマースキルがなかった私は、感情に左右され、波が激しく、上手くいかないときに粘れない、タフとは程遠い選手でした。厳しい練習を重ねても、自分の力を発揮できた実感はほとんど持つことはできませんでした。悔しいです。
だからこそいま頑張っている選手達に、タフになるための方法の1つ、パフォーマースキルの大切さ伝えたいなと心から思いました。ぜひぜひタフな選手になるために、自分で試合中の台本を書きあげ、俳優になり切って演じるトレーニングを継続してみてほしいです。
私も今仕事や日常生活を舞台にしてトライしています。簡単じゃないし、やっぱりほんとうの自分が出てきてストレス溜まることもあるけど、パフォーマンスを最大限に発揮したいならやり続けることでしかスキルは身につかない!と言い聞かせて、良い演技ができるように頑張っています笑
この本「メンタルタフネス」には、まだまだ「これ現役の時に知っていたかった」という目から鱗のタフネス向上のための知見がたくさん書かれているので、今後またまとめて投稿していきますね!お楽しみに~★
<参考>
ジム・レーヤー(1997)スポーツマンのためのメンタルタフネス