超一流になった人達は『限界的練習』をしている!
みなさん、一流になるためには『限界的練習』が必要だということご存知ですか??
これは、あらゆる分野で「超一流になった人」を研究しているエリクソン博士が明らかにしているんです!
エリクソン博士と言えば、1万時間の法則。「どの分野でも超一流になる人は10年間で1万時間以上練習している」って発表されて有名になった法則です。でも実はこう付け加えられているんです。
1万時間以上練習しても上手くならない人、下手になるもいる。超一流になるための優れたパフォーマンスを獲得するためには『限界的練習』を積み重ねなければならない。
え。1万時間練習して、下手になるってどういうこと??衝撃。
そして、エリクソン博士は、『限界的練習』がパフォーマンスを高めるために必要な鍵になり、その限界的練習をしていないから超一流になれないんだよってことを科学的に証明しているんです( ゚Д゚)
気になる。
そこで今回はエリクソン著「超一流になるのは、才能か、努力か?」から、より高いパフォーマンスの発揮を目指す全アスリート・全競技指導者にぜひぜひ知っていただきたい、『限界的練習』についてまとめてみました。
この本では、スポーツだけでなく、音楽や、勉強、ビジネス分野などなど様々な分野の超一流を研究した結果を基にしているのです。だから、スポーツ以外で成果を出したいことにも応用できます★
◆3つの誤解
『限界的練習』の説明に入る前に、みなさんに知っておいてもらいたいことがあります。それはエリクソン博士が指摘した、世界中の人々が陥っている能力に関する『3つの誤解』です。
①「人間の能力の限界は遺伝的特徴によって決まっている」という誤解
誰でも自分が選んだ分野で、能力を伸ばすことができる。才能は自分で作るもの。努力する才能も幻想。
②「長い時間継続すれば上達する」という誤解
同じことを同じやり方でいくら繰り返しても上達し続けることはない。同じことを繰り返していたら、停滞と緩やかな能力低下は避けられない。
③「努力さえすれば上達する」という誤解
デザインした練習方法を用いなければ、努力してもそれほど改善の見込みはない。
ショック!!!
いやー私は選手の時、完全にこの3つ誤解してましたよ。だから、これの本で「それは誤解だ」と言われた時、「いやいやいやいや」って否定したくなりました。
でも冷静に計算したら、私は10歳からの10年で1万時間以上はプレーしていたんですよ。でも世界のトップなんて全然届かなかった(泣)しかも、15歳くらいの時からその後全く上手くなっている気がしなかった(泣)実際「こんなに練習しているのに、やっぱり世界のトップに立つ才能がなかったんだ。」とか思っていたんです。
じゃあ、どうしたらよかったんだ~~~~~!( ;∀;)
はい。エリクソン博士は冷静に語ってくれています。
・だれでも能力を伸ばすことができるが、正しい方法をとる必要がある。
・正しい練習を、十分な期間にわたって継続することが向上につながるのだ。
この「正しい方法、正しい練習」をエリクソン博士は『限界的練習』と名付けたのです。
◆限界的練習とは
エリクソン博士は、さまざまな分野で世界で活躍するレベルの一流の人々を調査し、彼らが一体どのような練習を繰り返していたのかを明らかにしてくれました。
その研究から、一流になるためには、一般の人々が「才能」「センス」と言っているものの影響は非常に小さく、『限界的練習』をしているか否かが、一流の成果を上げるための分かれ道になるそうなんです。
で、『限界的練習』には重要なポイントが4つあります。この4つを満たした練習をしていく必要があるんです。
①具体的な目標を設定する
エリクソン博士曰く、「優勝したい」「うまくなりたい」「全国大会に出られるようにしたい」という目標は持っていていいけど、それだけじゃ一流にはなれんぞと。それは漠然とした目標だから、それを具体的に努力することが明確になるような目標に変えなさいと言っています。工夫の方法はこんな点を抑えると良いそうです。(事例入れてみました。)
・定義を明確にする
(×バックハンドうまくなりたい→〇深いボールが来た時にも、腰を落としてクロスに返球するバックハンドの確率を上げられるようにしたい)
・長期的な目標を、いくつかの段階に分解する
(例:①しっかり腰を落とせるようにする →その姿勢でコートに入る確率を上げる →その姿勢でコースを打ち分けられるようにする)
「長い旅路を達成可能な目標に分割すること」が大事だそうです。
②コンフォートゾーンから出る
『コンフォート・ゾーンから出る』というのは、「それまでできなかったことに挑戦する」という意味です。そして、コンフォートゾーンを出る練習を行う際に大切なことは『常に現在の能力をわずかに上回る課題に挑戦しつづける』ことなのです。
だから練習のときに、いつもと同じことを同じようにしていたら、『コンフォートゾーンに留まっている』ということになります。同じメニューの練習でも、毎日チャレンジする課題を自分なりに設定することが大事なんです。
しかも、今できている事よりも少しだけ難しいことを自分に課すようにする。だからなんとなく、何も意識せずに行う練習はなくなるので、体も頭もきついけど、これを積み重ねると毎日成長があるんですね。
これに関してすごく面白い事例が挙げられていました。エリクソン博士の研究で、約30年の経験がある医師は、医大卒業後2~3年しか経っていない医師と比べて、手術などのパフォーマンスが劣っているという結果が出たそうなんです。エリクソン博士は、この結果を分析し、このように述べています。
その結果の理由がはっきりわかる。30年の経験を持つ医師は、コンフォート・ゾーンから出ようとしてなかった。そして上達するのに必要な長時間にわたる目的のある練習をしなかったためだ。それでは向上ではなく、停滞するのが当然だ。
上を目指すなら、「自分はコンフォートゾーンを出ているのか?」日々自分に問いかける必要がありますね!
③フィードバックを得る
エリクソン博士は、「上達するためには、自分のどの部分がどう未熟なのかを、正確に特定するために、フィードバック(評価・意見)が欠かせない。」と言っています。なぜか。
第一に、フィードバックがないと、どの部分を改善する必要があるのか、目標達成にどの程度近づいているのかがわからないから。そして第二に、壁を乗り越えるために大切なことは「もっと頑張る」ことではなく、「別の方法を試す」ことだからです。
つまり、うまくいかなくなったときに、別の方法を取るためには自分で考えたアイデアだけでなく、異なる視点を持つコーチや指導者などのフィードバックを受けることで、いままでにないアプローチができるようになり、壁を乗り越えるきっかけになるってことですね。
コーチの存在が役立つ理由の一つはこれなんですね。もちろん自分自身で評価し、アイデアを出しトライすることは必要ですし大切ですが、他者からのフィードバックは、違う視点が得られる可能性大です。
フィードバックは、自分が気が付かなかったことに気付けるチャンス。耳が痛いもの(笑)も含め、フィードバックは一旦素直に受け入れる。その上で、吟味しながら必要なものを取り入れて、修正していけるといいですね。
④集中力を高める環境づくり
これ意外と軽視しがちだけど、実は上達のための土台となる部分ですね。エリクソン博士はこう言っています。
「やるべき作業に全神経を集中しなければ、たいした進歩は望めない。」
ごもっとも。どれだけ良いフィードバックを受けて、具体的な目標持ってても、気が散りながら練習してたらなんにもならないですもんね。。。
ちなみにエリクソン博士は、集中する環境をつくるためのポイントをいくつか具体的に示してくれています。
・新しい技能を早く習得するために一番良い方法は、毎回明確な目標を設定して練習時間を短くすること
・70%の力で長く練習するより、100%の力で短い時間練習する方が効果がある
・これ以上集中できないと思ったら、練習は打ち切る
・練習に最大限集中できるように睡眠はしっかりとる必要がある
・練習時間を1時間ごとに区切る
私は選手時代を思い出すと、たくさん練習しないとだめな気がして、ぜんぜん集中していない状態でもずっと練習していました。。。やらなければうまくならないですが、ある一定のレベルを超えたら、練習ではこの「集中」にこだわる必要がありそうですね。
◆まとめ
ということで、限界的練習のポイント4つ、いかがでしたでしょうか?みなさんはこのポイントを押さえて練習できていそうですか??
私はいますぐ、小学生のときにぼーっと練習していた自分に伝えに行きたいです!高校生の時でもいい!!( ;∀;)
最後に、めちゃくちゃ納得のエリクソン博士の、一流になるための練習と時間に関する言葉を紹介させてください。
人は、技能が限界に達し、それ以上練習してもさらなる向上は望めないという段階はない。しかし、世界で活躍する「トップアスリート」や「音楽家」が1万時間以上の練習を積まなければならないのは、競争相手も1万時間以上の練習を積んでいるからだ。
競争の激しい分野でトップクラスになりたければ、何千時間も集中して骨の折れるトレーニング(限界的練習)を積まなければならない。さもなければ進んで同じような努力をする人々と競い合うチャンスさえ得られない。
エリクソン博士の「超一流になった人」の研究結果からわかることは、これからあらゆる分野で一流を目指す人に、ほんとに知っておいてもらいたい!!!たくさんの人に伝えられるといいなと、改めて思いました!
<参考>
Anders Ericsson, Robert Pool(2016)超一流になるのは才能か努力か?