イングリッシュブルーベルのうみ 第陸.弐話
「僕に何を尋ねに来たのかい?」
「はい、その前に」
「前に?」
「…もう一つ…」
「?」
「…あれ?えっと…」
「ワタル?どうかしたのか?」
一坂の問い掛けを聞きながら、ワタルは駅舎や列車について尋ねに来たのと、あと何か。何か、もう一つ。大事な何かを尋ねか伝えかしたかったにも関わらず、何一つ、頭文字さえ思い出せなかった。
「おいおい、どうした、ワタル?一坂の方が、困っているぞ」
朝餉の味噌汁を啜りつつ、三角は何処か楽気に一坂とワタルを見合った。
「ご、ごめんなさい…思い出せな