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ゲーム研究紹介

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ゲームとプレイヤー,およびこれらを取り巻く文化を対象とした学術的研究に関する記事をまとめています。
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2020年7月の記事一覧

ゲーム依存の捉え方

ゲーム依存の捉え方

 以前,『ゲーム研究の手引きⅡ』について紹介しました。今回は,この手引きで私が解説したキーワードのうち,「ゲーム依存」を取り上げて,内容をかみ砕きつつ,補足的な説明を加えていきたいと思います(『ゲーム研究の手引きⅡ』の紹介記事はこちらです)。

ゲーム依存の定義 ビデオゲームを過度に,かつ強迫的に使用することによって,社会的・感情的な問題が生じているにもかかわらず,プレイヤーがその使用を抑制するこ

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ゲームとフロー

ゲームとフロー

 以前,『ゲーム研究の手引きⅡ』について紹介しました。今回は,この手引きで私が解説したキーワードのうち,「フロー」を取り上げ,その一部について補足的な説明を加えていきたいと思います(『ゲーム研究の手引きⅡ』の紹介記事はこちらです)。

フローとは フローは心理学者のチクセントミハイによって提唱された有名な概念です。フローとは,ある活動に深く没入している状態で,その活動で挑戦と能力のバランスがとれて

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ゲームと内発的動機づけ

ゲームと内発的動機づけ

 以前,『ゲーム研究の手引きⅡ』について紹介しました。今回は,この手引きで私が解説したキーワードのうち,「内発的動機づけ」を取り上げて,補足しながら簡単に説明していきたいと思います(『ゲーム研究の手引きⅡ』の紹介記事はこちらです)。

内発的動機づけとは
 動機づけ(motivation)の類義語には,「やる気」や「意欲」などがあります。カタカナ語の「モチベーション」もよく用いられています。心理学

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involvementの訳語

involvementの訳語

 前回の記事(「ゲームプレイの多面性」)で,「関与」という用語の話を取り上げました。「関与」はinvolvementの訳語です。この訳語は,論文を読んで訳すときに私が選んだものでした。実は,論文を読んでいるときにどの訳語にすべきか迷っていました。今回は,involvementの訳語の選択について書きます。

「関与」か「没頭」か involvementの意味は「関与」のほかに,「没頭」,「熱中」,

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ゲームプレイの多面性

ゲームプレイの多面性

 以前,『ゲーム研究の手引きⅡ』について紹介しました。今回は,この手引きで私が解説したキーワードのうち,「関与」を取り上げて,内容をかみ砕きつつ,補足的な説明を加えていきたいと思います(『ゲーム研究の手引きⅡ』の紹介記事はこちらです)。

関与(involvement)とは プレイヤーがビデオゲームを体験することによって,その諸側面に関わることを指す用語です。ゲーム研究者のゴードン・カレヤが六角形

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「心理学とゲーム研究」

「心理学とゲーム研究」

 以前,『ゲーム研究の手引き』の紹介をしました。今回は,そのなかで私が執筆した「心理学とゲーム研究」というコラム(木村, 2017)の内容をかみ砕きつつ,補足的な解説を加えていきたいと思います。

ゲームを対象とした心理学の研究の歴史
 ゲームが私たちの日常生活に浸透する契機となったのは,1983年の「ファミコン」の発売でした。ゲームを対象とした心理学の研究は,同時期の1980年代前半からすでに存

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「キャリア支援のための学習ゲーム」

「キャリア支援のための学習ゲーム」

 今回は,以前に私が執筆した論文紹介記事「キャリア支援のための学習ゲーム」について書きます。これは『日本労働研究雑誌』(2019年1月号,No. 702)に「論文Today」という種別の原稿として執筆したもので,新しい論文を選んでその内容を要約して紹介するという趣旨の記事でした。「ゲーム研究」という分野を知らない方向けに,シリアスゲーム分野の論文を紹介しています。今回は,この論文紹介記事をnote

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『ゲーム研究の手引きⅡ』

『ゲーム研究の手引きⅡ』

 今回は,『ゲーム研究の手引きⅡ』について紹介したいと思います。以下のリンク先のページ内で,PDFファイルをダウンロードすることができます(ゲーム研究のほかに,マンガ,アニメ,メディアアートの研究のPDFファイルもあります)。

https://mediag.bunka.go.jp/article/article-16068/

(Webサイト「メディア芸術カレントコンテンツ」へのリンク)

 以

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