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『ゲーム研究の手引きⅡ』

 今回は,『ゲーム研究の手引きⅡ』について紹介したいと思います。以下のリンク先のページ内で,PDFファイルをダウンロードすることができます(ゲーム研究のほかに,マンガ,アニメ,メディアアートの研究のPDFファイルもあります)。

https://mediag.bunka.go.jp/article/article-16068/

(Webサイト「メディア芸術カレントコンテンツ」へのリンク)

 以前,『ゲーム研究の手引き』についてご紹介しました。よろしければ,関連する記事としてそちらもご参照ください。


『ゲーム研究の手引きⅡ』とは?

 ゲーム研究をこれから始めようとしている初学者のために作られたガイドブックで,文化庁のメディア芸術連携促進事業の成果物である『ゲーム研究の手引き』の続編です。編著者の松永伸司さんと6名の執筆者が初学者向けにゲーム研究の基礎について解説しています。なお,私も執筆しています。

 『ゲーム研究の手引き』が23ページだったのに対し,『ゲーム研究の手引きⅡ』は70ページです。ボリュームが一気に増えて,ゲーム研究のキーワードを解説するという趣旨になっています。もちろん,無料です。


ゲーム研究のキーワード解説

 2冊の手引きの目的は,ゲーム研究をマッピングする(ゲーム研究の見取り図を作る)ことでした。その目的に沿って,最初に松永さんが研究マッピング事業全体を振り返り,改めてゲーム研究の全体像を示します(第1部)。次に,ゲーム研究の重要な用語(キーワード)についての解説が続きます(第2部)。解説されるキーワード数の合計は21個で,複数の分野の専門家(6名)による分担執筆という形になっています。

 前編の手引きと大きく異なる点は「用語解説集」になっているという点です。ゲーム研究のトピックは多岐にわたっているため,初学者には足がかりが見えにくいという問題が生じやすいと思われます。続編となる2つ目の手引きは,研究の基礎となるキーワードを取り上げることによって,当該分野の全体像がより見えやすいものになり,初学者がその後の研究を発展させる足がかりを得ることを目的として書かれています。

 発展している多くの研究分野には,専門用語を解説する辞典があります。ゲーム研究は比較的新しい分野で,2020年の時点では日本語で書かれたゲーム研究のための専門用語辞典が存在していません。今後の発展のためには用語辞典が必要になると思いますが,これはもう少し先の話になるでしょう。『ゲーム研究の手引きⅡ』は初学者のための足がかりとしてだけでなく,ゲーム研究全体の発展のための足がかりとしても位置づけられると思います。


 用語集なので区切りが明確で,各用語について短くまとめられていて,読む負担は小さいはずです。興味をもったキーワードから拾い読みするといった使い方もできるでしょう。さらに,文献リストがそのまま発展学習のために使えると思います。そのようなわけで,『ゲーム研究の手引きⅡ』もオススメしたいと思います。

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