しましまにゃんこ(木村 知宏)

大学で研究をしています。専門は心理学とゲームスタディーズ。最近はfNIRSを用いたゲームプレイ中の脳活動計測に取り組んでいます。ゲーム心理学(心理学とゲームスタディーズ,およびシリアスゲーム分野の融合領域,現在は未確立の分野)の構築に向けて努力中。最近は更新頻度が低めです。

しましまにゃんこ(木村 知宏)

大学で研究をしています。専門は心理学とゲームスタディーズ。最近はfNIRSを用いたゲームプレイ中の脳活動計測に取り組んでいます。ゲーム心理学(心理学とゲームスタディーズ,およびシリアスゲーム分野の融合領域,現在は未確立の分野)の構築に向けて努力中。最近は更新頻度が低めです。

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最近の記事

『幸せな未来は「ゲーム」が創る』の紹介

 今回は,ゲームの可能性を論じている『Reality Is Broken』の翻訳書をご紹介します。本の情報は以下のとおりです。 McGonigal, J. (2011). Reality is broken: Why games make us better and how they can change the world. Penguin Press. (マクゴニガル, J. 妹尾 堅一郎 (監修) 藤本 徹・藤井 清美 (訳) (2011). 幸せな未来は「ゲーム」が

    • 担当授業日記 (2020/10/23)

       今年度の8回目の授業を終えました。「担当授業日記」として,感想などを述べていきたいと思います(これは,6日前の授業についての日記です)。 今回の授業の内容 統計学については,新しい内容を扱うのが前回で最後で,今回は簡単に総括をしました。コンピュータ実習では,一部の学生にPowerPointを使って発表をしてもらいました。  恒例の練習問題は提出用としては出さず,解答付きの自習用の教材として配付しました。 今年度の最終回 これまでの一連の授業は2コマ連続になっていて,別

      • 担当授業日記 (2020/10/16)

         今年度の7回目の授業を終えました。「担当授業日記」として,感想などを述べていきたいと思います(これは3日前の授業についての日記です)。 今回の授業の内容 統計学の内容として,統計的仮説検定について解説しました。コンピュータ実習では,PowerPointによる資料の作成について扱いました。  提出用の練習問題では,標本抽出,推定,標準誤差などに関する問題を出しました。 調べるスキルと伝えるスキル 個々人でスキルとして差があると感じられるものに,調べるスキルと伝えるスキル

        • 担当授業日記 (2020/10/9)

           今年度の6回目の授業を終えました。「担当授業日記」として,感想などを述べていきたいと思います。 今回の授業の内容  統計学の内容として,正規分布,大数の法則,中心極限定理などについて解説しました。コンピュータ実習では前回に引き続き,Wordを用いた報告書の書き方を扱いました。  提出用の練習問題では,無作為抽出,不偏性,標準誤差などに関する問題を出しました。 研究の目的は母集団か,標本か? 標本調査における母集団と標本の関係についての問題が出されたとして,その中の「調

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        • しまねこ書評
          29本
        • 担当授業日記
          10本
        • 大学エッセイ
          7本
        • 実践ゲーム心理学
          3本
        • 日本語はてなシリーズ
          9本
        • ゲーム研究紹介
          10本

        記事

          担当授業日記 (2020/10/2)

           今年度の5回目の授業を終えました。「担当授業日記」として,感想などを述べていきたいと思います(この日記は1日前のものです)。 今回の授業の内容 統計学の内容として,確率分布,推定,標準誤差などについて解説しました。コンピュータ実習では,Excelによる散布図の作成とWordによる報告書の書き方を扱いました。  提出用の練習問題では,母集団と標本,統計的推測に関する問題を出しました。 Wordの実習で研究の基礎を扱う この授業では,Word,Excel,PowerPoi

          大学の風景の記録(2020/10/1)

           COVID-19の拡大の影響で変化した大学の風景の記録を,簡単に残しておきたいと思います。今回の風景は駒場です。 駒場キャンパスの様子 下の写真は,今日の駒場キャンパスの様子です。通常であれば,もう少しにぎやかだと思うのですが,本郷キャンパスと同様に,駒場キャンパスも静かでした。入構制限や授業のオンライン化の影響は大きいようです。最近はいつもこのような雰囲気で,以前の活気が戻るまでには時間がかかると思われます。 最寄り駅 駒場Ⅰキャンパスの最寄り駅は,井の頭線の駒場東大

          大学の風景の記録(2020/10/1)

          感情はどのように分類できるか

           私たちは,心のひとつの側面としての「感情」について,経験的にはよく知っています。しかし,私たちの心を扱う心理学の分野では,「感情」の定義はそれほど明確になってはおらず,認知や知覚といった機能と比べると,研究が進んでいるとはいえません。一方で,すでにわかっていることも多くあります。今回は心理学と文学の視点から,私たちがよく知っている「感情」の分類について見ていきます。 基本感情説と次元説 感情には,喜び,恐れ,驚き,嫌悪,怒り,悲しみなどの基本感情が存在すると考える基本感情

          感情はどのように分類できるか

          大学の風景の記録(2020/9/29)

           COVID-19の拡大の影響で,大学の風景は大きく変化しました。現在は以前のような活気はなく,少し寂しいままです。今でこそ当たり前のようにこの特殊な状況を受け入れて生活していますが,いずれ状況が改善していき,さらに時間が経過していくことで,少しずつ今の状況を忘れていくような気がします。そのようなわけで,大学の風景の記録を簡単に残しておこうと思います。 本郷キャンパスの様子 下の写真は,今日の東京大学本郷キャンパスの様子です。普段どおりであれば,人通りの多い安田講堂から正門

          大学の風景の記録(2020/9/29)

          日本語の文章で用語をどのように扱うべきか

           伝わりやすい(わかりやすい)日本語の文章を書こうとするとき,用語をどのように扱うべきかという問題が生じてきます。最近の記事で「「公用文作成の要領」の見直しに関する国語課題小委員会の検討状況(案)」という資料を取り上げることがありました。この資料には,平易でわかりやすい文章を書くために意識すべきことがまとめられていて,とても参考になります。今回は,この資料を参照しつつ,読み手にわかりやすい用語の扱い方について書きます。 使う必要のない専門用語は日常語で言い換えるべき 以前,

          日本語の文章で用語をどのように扱うべきか

          紙とペンだけですぐに体験できる心理学実験

           今回は,紙とペンだけですぐに体験できる,とても簡単な心理学実験をご紹介します。ひらがなを書ける人であればだれでもできるので,飲み会での話のネタや集中力が欠けてきた子どもたちのための気晴らしなどになると思います。 スリップの実験 心理学では,意図していた行為とは異なることを行ってしまうエラーをスリップと呼びます。スリップにはいろいろな種類がありますが,今回は文字を書くときに起きる「急速反復書字」について紹介します。私はこれを学部時代に仁平義明先生の授業で教わって,簡単にでき

          紙とペンだけですぐに体験できる心理学実験

          騙そうとするグラフに騙されないスキル

           グラフは便利なツールですが,人を騙す情報にもなり得ます。統計学の基礎の授業で,グラフの作成方法を教えることがあります。たんに作り方を覚えてもらうだけでなく,メディア・リテラシーと関連させて,グラフを見るときの注意点についても話しています。今回は,騙そうとするグラフに騙されないスキルについて書きます。 グラフは何のためにあるのか 一般に,得られたデータをそのまま示すと,数字の羅列だけになってしまい,情報として伝わりにくくなります。そこで,視覚的にわかりやすくするためにグラフ

          騙そうとするグラフに騙されないスキル

          担当授業日記 (2020/9/25)

           今年度の4回目の授業を終えました。「担当授業日記」として,感想などを述べていきたいと思います。 今回の授業の内容 統計学の内容として,母集団と標本,無作為抽出について解説しました。コンピュータ実習では,Excelを用いて度数分布表とヒストグラムの作成を行いました。  提出用の練習問題では,グラフと相関に関する問題と相関係数を求める計算問題を出しました。 計算過程を示す問題は差がつきやすい 学生によって,解答の質に差が出やすいのが計算過程を書く問題だと思います。このよう

          「反応速度を要求するデジタルゲームが感情経験に与える影響」の紹介

           今回は,以前に私が執筆した論文「反応速度を要求するデジタルゲームが感情経験に与える影響」について,note向けに紹介記事としてまとめます。これは『デジタルゲーム学研究』(第7巻第2号,2015年)に掲載された論文で,デジタルゲーム(ビデオゲーム)のプレイ前後に測定した質問紙と生理指標のデータをもとに,デジタルゲームが感情に与える影響について検討したものです。 論文の情報木村 知宏 (2015). 反応速度を要求するデジタルゲームが感情経験に与える影響 デジタルゲーム学研

          「反応速度を要求するデジタルゲームが感情経験に与える影響」の紹介

          ビデオゲーム史:『アステロイド』

           ビデオゲーム史シリーズとして,作品ごとにまとめたメモを書き残しています。今回の作品は『アステロイド』(Asteroids) です。 概要 アメリカで大ヒットしたシューティングゲームで,開発・発売元はアタリです。1979年に稼働を開始しました。アメリカでの出荷台数は7万台を超えたといわれています。  プレイヤーは,自機である三角形の宇宙船を操作して,接近する小惑星を破壊します。プレイヤーが可能な行動は,自機を左右に回転させること,攻撃のために前方にショットを放つこと,前進

          ビデオゲーム史:『アステロイド』

          読みやすくするための漢字と仮名の使い方

           日本語の文章を大量に読んだり,書いたりしていると,わかりやすい日本語の表記とはどのようなものであるべきかということを考えたり,意識したりすることがあります。今回は,読み手にわかりやすい漢字と仮名の使い方について書きます。 漢字の多用を避ける  文章はだれかに読んでもらうために書くものなので,個人的には読みやすさや伝わりやすさを重視したいと考えています。読み手にどのような人を想定するかということによりますが,この記事でいうわかりやすい文章とは,文学的文章のような特殊な効果を

          読みやすくするための漢字と仮名の使い方

          ビデオゲーム史:『ヘッドオン』

           ビデオゲーム史シリーズとして,作品ごとにまとめたメモを書き残しています。今回の作品は『ヘッドオン』(Head On) です。 概要 車を走らせてコース上のドットを消していくアーケードゲームです。1979年に稼働を開始しました。開発元はセガ・グレムリン (Sega/Gremlin),発売元はセガです。  プレイヤーの目的は,黄色の車を操作して5車線からなるコースを反時計回りに走行し,各車線上にある全てのドットを消すことです。4方向レバーで走行する車線を変更することができま

          ビデオゲーム史:『ヘッドオン』