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大学エッセイ

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大学の風景の記録(2020/10/1)

 COVID-19の拡大の影響で変化した大学の風景の記録を,簡単に残しておきたいと思います。今回の風景は駒場です。 駒場キャンパスの様子 下の写真は,今日の駒場キャンパスの様子です。通常であれば,もう少しにぎやかだと思うのですが,本郷キャンパスと同様に,駒場キャンパスも静かでした。入構制限や授業のオンライン化の影響は大きいようです。最近はいつもこのような雰囲気で,以前の活気が戻るまでには時間がかかると思われます。 最寄り駅 駒場Ⅰキャンパスの最寄り駅は,井の頭線の駒場東大

大学の風景の記録(2020/9/29)

 COVID-19の拡大の影響で,大学の風景は大きく変化しました。現在は以前のような活気はなく,少し寂しいままです。今でこそ当たり前のようにこの特殊な状況を受け入れて生活していますが,いずれ状況が改善していき,さらに時間が経過していくことで,少しずつ今の状況を忘れていくような気がします。そのようなわけで,大学の風景の記録を簡単に残しておこうと思います。 本郷キャンパスの様子 下の写真は,今日の東京大学本郷キャンパスの様子です。普段どおりであれば,人通りの多い安田講堂から正門

因果関係の証明は非常に難しい

 大学で勉強して「ためになったこと」をあえてひとつ挙げるとすれば,「因果関係を証明することは非常に難しい」ということを経験し,実感したことだと思います。このおかげで,メディア・リテラシーや科学的視点が身についたかもしれませんし,少し大げさに言えば,世の中を正しく見られるようになったかもしれません。今回は,心理学の教科書に書いてあるような「相関関係と因果関係」という有名なトピックに触れたいと思います。 人は因果関係が大好き? よくいわれることだと思われますが,人は目の前のもの

研究資源としての大学図書館の便利さ

 図書館はとても便利です。本格的に研究を始めるようになってから,図書館は研究資源として欠かせない存在になりました。幼い頃はそれほど勉強をしなかったので,「図書館なんて行ってもつまらない」と思っていたものですが,今では利用者にサービスを提供しようとする図書館の運営側の配慮が各所で見えるようになってきて,ありがたいと思うようになりました。今回は,そこそこ研究する立場になった利用者としての視点で,主に大学図書館の長所について述べていきたいと思います。 大学図書館を利用するメリット

学部時代を振り返る

 私は東北大学文学部に在籍していました。振り返ると,とても良い環境だったことが思い出されます。カリキュラムが整っていて,とても学びやすい環境でした。今回は,学部時代を振り返りつつ,良かったと思うことを挙げていこうと思います。 学ぶ場所がまとまっている 東北大学のキャンパスは複数あり,文学部は川内キャンパスにあります。川内キャンパスは中心を通る道路を境にして,北キャンパスと南キャンパスに分かれています。北キャンパスは1年次と2年次で全学教育科目を学ぶ場所で,南キャンパスは専門

授業資料アーカイブ

 今回は,大学の授業で得られ,あとに残るものについて考えてみたいと思います。学術書のほとんどは,研究者(教員)が自身の知見を時間をかけて工夫してまとめたものであり,その価値がとても大きいということは間違いないでしょう。同じ意味で,大学や大学院の授業も価値がとても大きいと思います。実際に,学生(とその保護者)は大学に安くはない授業料を支払って,授業を受けています。  時が過ぎれば,受けた授業の内容は忘れてしまうものです(卒業後,数年経過した方であれば,こういった体験をされ,実

心理学は文系か理系か

 私は,(一応)心理学を専門としています。以前,他の分野の方から「心理学は文系と理系のどちらに属するのか」と問われたことがあります。心理学がどの分野に属するかという問題は,やや複雑です。結論としては,この問いにはあまり意味がないと思っています。今回はその理由について述べていきたいと思います(似たような議論はすでに数多く行われていると思いますので,たぶん新しいことではありません)。 心理学は文系? 日本国内の大学では,文学部や教育学部,人間○○学部(学科)などで心理学を学ぶこ