見出し画像

研究資源としての大学図書館の便利さ

 図書館はとても便利です。本格的に研究を始めるようになってから,図書館は研究資源として欠かせない存在になりました。幼い頃はそれほど勉強をしなかったので,「図書館なんて行ってもつまらない」と思っていたものですが,今では利用者にサービスを提供しようとする図書館の運営側の配慮が各所で見えるようになってきて,ありがたいと思うようになりました。今回は,そこそこ研究する立場になった利用者としての視点で,主に大学図書館の長所について述べていきたいと思います。


大学図書館を利用するメリット

 大学図書館(academic library)は研究には欠かせません。学部生の頃は,自分専用の机が学内になかったため,その当時から大学図書館にたいへんお世話になってきました。勉強(自習)している人や昼寝をしている人もたまに見られる大学図書館ですが,そういった用途以外で多くの特有のメリットがあると思います。

 まず,大学図書館には,一般の書店にはほとんど置いていないような古い本があります。ここでいう古い本とは,古書店(古本屋)を探せば見つかる可能性のあるような,だいたい1950年代から1980年代までの専門書のことです。古めの専門書が数多く揃っていることは大学図書館の長所です。

 古い洋書には専門分野を研究するうえで重要な知見を含むものが多くあるものの,入手しづらいものも少なくありません。さらに,実際に手に取って読むまでは,本当に必要であるかどうかもわからないことがあります。こういった古い洋書を無料で読めることが,大学図書館を利用するメリットのひとつだといえます。

 各専門分野の辞典(事典)を気軽に参照できることも,大学図書館を利用するメリットのひとつです。これらの辞典には高価なものも多く,買えたとしても置き場所に困るような分厚いものがあります。これらのものを参考程度に見るくらいであれば,買う必要はほとんどなく,図書館にあるものを利用するのがおそらく適当でしょう。また,大学図書館ではこういった辞典が「禁帯出(館外に持ち出しできないことを指定した貸出区分)」とされている場合が多く,ずっと借りられていて参照できないということがあまりないので利用しやすくなっています。

 大学図書館は,学内の他のキャンパスにある図書の取り寄せや,学外にある文献のコピー・取り寄せ,新しい本の購入のリクエストなどのサービスを行っています。大学に規模の大きい図書館があれば,たいていの場合は学内のみで済みますが,OPAC(Online Public Access Catalog; オンラインの蔵書目録)を検索して学外にしかないことがわかった場合には,図書館に依頼して有料で取り寄せることもできます。このように,大学図書館を利用するメリットとして,各種サービスが充実していることも挙げられます。


国立国会図書館で補う

 地方自治体が設置している公立図書館は便利ですが,国立国会図書館もたいへん便利だと思います。私は永田町にある東京本館しか利用したことがありませんが,利用者登録(満18歳以上のみ可)さえ済ませれば,だれでも利用できるようになっています。

 国立国会図書館はやや特殊で,資料のほとんどが書庫に保存されています。資料を閲覧するためには「国立国会図書館オンライン」で検索し,利用の申し込みをします。その後,カウンターで受け取って閲覧します。館外貸出はできないため,館内で閲覧する必要があります。

 大学図書館に置いていない研究資料を探す場合などには,大学図書館を補う形で国立国会図書館を利用すると便利だと思います。


まとめ

 大学図書館の長所は,以下のとおりです。コストを抑えながら,たくさんの資料を調べたいときに便利です。

①古めの専門書が数多く揃っている
②古い洋書を読める
③各専門分野の辞典を気軽に参照できる
④各種サービスが充実している

 ある程度はサービスが限定されますが,学外の一般の方も利用可能な図書館があります。


 図書館には日頃お世話になっています。これだけのサービスを基本的に無料で利用できる環境が身近にあるというのは,たいへん恵まれているといえます。図書館を自習や暇つぶしに利用するのもよいですが,何らかの目的をもって調べるというときには,インターネットが普及した現在でも,図書館は大きな役割を果たしてくれていると思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?