流星鯰/白露

アケゲとか映画とか読書とかネットのもめ事とか

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最近の記事

夕暮れと仮面の街

久し振りに歩く商店街も そこまでの街並みも 前に来た時と比べてシャッターが増えている。 一度も入ったことはないお店 なんの権利もないのは当たり前に分かっている。 ただの傲慢な感傷なんだけど、それでも、 気になることに変わりはないのだ。 そして誰が住むか分からない戸建てマンションが また今日も建っていき 資本の轍を残しながら、街を形作っていく。 そんな繰り返しに寂しさを感じること自体が贅沢であるのかもしれない。 僕の故郷はとても、そうとても田舎で。コンビニが町に一つあるのが重

    • 人をみるときの話

      ちょっと前に呟いていたことの話。 これの話っす。仕事でもゲームでも、人間生きていると他の人の発言にモヤッとすることがあって。それが何なんだろうという所についての言及です。 で、個人的に引っかかるもののなかに、「周りの事を考えて俺は敢えて言ってあげている」みたいなのがあります。権力の暴走を止めるための監視装置である、みたいなやつですね。俺はこれが苦手でして。何故なら伝え方を蔑ろにしている感じを受けるからです。 いやまあ自分も伝え方でミスったなーってのは多々ありますけど、そこの

      • 「もう、始まってる!」

         粘性を帯びた大気が、纏わりつくように周囲を塞いでいく。照り付ける日射しは嫌味なほど青く、満遍なく大地に降り注いでいた。肉体の其処此処から不快感のシグナルが出され、足は自然と重くなる。ただ歩くだけで憂鬱になるのを防ぐために、僕はイヤホンから聴こえる音に集中する。 「はい、配信始まってます。見てってください」  ゲームの実況する声が耳から聴こえてくる。自分には馴染みのゲームであり、馴染みの声だ。自分はこの人の配信をよく観ている。 何故観始めたかはあまり覚えていない。が、今では配

        • 傘をあんまり好きになれない

          傘というものがあんまり好きになれない。とても便利だということは理解している。自分もいい歳で、濡れた衣服が肌に纏わりつくというのがどれ程不快なのか分かるからだ。 そんな本来感謝しなければならない傘がなぜ好きになれないのか。幾つか理由がある。 まず第一に、持ち運びに重さを感じるからだ。 舐めてると思われるかもしれないが、前述したように自分もいい歳だ。たかが1kgたらずの荷物の携行が、翌日の体調を左右することもあったりする。具体的にはちょっと肩が重いなとか。またスペース的にもどう

        夕暮れと仮面の街

          散文:春になりましたね。最近の話とか

          久しぶりに日記を書いている。 特に書きたいこともなく、変わったこともない。仕事して、人に会って、お酒飲んで、ゲームしてを繰り返す日々を続けている。 いや少し変わったか。人目につく文章を書く機会が、ちょこちょこ発生している。理由は伏せるが、そういった理由のため添削を受けることが多くなっている。かなり直される。 いい歳なので、毎度直される度に自分の文章力の無さとかに、ちょっと凹む。しょうがないんだけどね。そういったテクニックを養ってこなかったことがそのまま結果に出ているだけであり

          散文:春になりましたね。最近の話とか

          読み返すことと、感情の話。

           自分の特色の一つに、「とても忘れっぽい・記憶力が悪い」というのがある。小説も漫画もアニメも、作品を摂取した数か月後にはどんどん忘れて言ってしまう。作品のあらすじから、登場人物の名前から、何から何まで。大体残るのは一部の感情と、摂取したなという事実だけ。何を読んでなくて何を観たか、みたいのは意外と覚えていたりする。  で、再度読み返したりすることも少ないのだけど、それでもたまーにそういった行為をすることがある。部屋の掃除してたら漫画なんとなく読んじゃうとか、数年ぶりにシリーズ

          読み返すことと、感情の話。

          お食事ですよ、イバラキさん #1「タケノコ堀りと山の幸」

          じりじりと音がするような日射しが照り付ける初夏。梅雨時だというのに、湿度も低くからりとした天気である。場所は山の中腹にある開けた場所であり、短めの野草と土が斑に大地を覆っていた。少し歩いたところには小川も流れていて、先刻まで僕はそこで釣りをしていた。 「せんせぇー、いい感じになってきましたよ!そろそろ始めましょう」 僕は声を上げる。少し離れた所にテントが張られており、陽の光が当たらないよう軒が作り出されていた。そこには先生と呼ばれた男がアウトドアチェアに座り、ぼんやりとタブレ

          お食事ですよ、イバラキさん #1「タケノコ堀りと山の幸」

          集合、離散、或いは情報量の増加が招く変化について

           ども、白露です。最近冥王になった。何のことか分からない人はツイッター(@pizzahakuro)をみると分かるかも。 今回書くのは人が集まり、また離れる話についての雑感で、色々あるよねって話をつらつらと。  自分は色々SNSで知り合った人からお声を戴いて飲みに行ったりしていて、昨年の夏ぐらいから結構大きめのグループに参加させていただいて。そんなこんなで毎月1回は誰かと飲みに行ったり話したりするような付き合いをしている。で、大きなグループなのでそこで仲良くなった関係を基に幾

          集合、離散、或いは情報量の増加が招く変化について

          ぼくのおとうさんは、ダンビラムーチョです。

          ぼくのおとうさんは、ダンビラムーチョです。 おとうさんの一日は、あさがは早いです。 僕がねているうちに、仕事のしたくをしています。 朝ごはんを食べ、仕事どうぐのだんびらをていねいに磨いています。仕事ねっしんです。 そして仕事に出ていきます。パンツ一枚で、寒い日も暑い日も出掛けていきます。そういうお仕事だからです。 お父さんのお仕事は危険です。よくけがをして帰ってきます。「今日は四回も倒されちゃったからボロボロだよ」でもそんなお父さんは、少し誇らしげです。 たまに、冒険者を倒

          ぼくのおとうさんは、ダンビラムーチョです。

          曇天

          ひたひたと雨のなか歩いていると、公園の傍を通りかかった。いつもの帰路なのだけれども、桜が咲いていることを初めて気付いた。普段はもっと頭が回って、他のことを考えているのだろう。倦んでぼんやりと歩いていた今日だからこそ、見つけることが出来たかもしれない。 とはいっても、街灯の光は青みが強く、桜と分かるのは花びらの形状と季節からの推測で。 淡い桃色は失せ、ただ白黒のシルエットが存在感を放っていた。 濃霧のような霧雨のような降り方。大雨の時より、地面の湿った少しの生臭さと土や草木

          「ライフ・ディッガー #2 ラジオゾンデ」

          1/  目を覚ますと、遠くから音が聴こえてきた。何やら人の声のようだ。 この「ベース」と呼ばれる建造物は極めて高性能な遮音性能を誇っており、外で嵐が吹き荒れ、空に浮かぶ二つの月が完全に覆われているような天候でも、ベースの中は何の音もしないのだった。一方ベース内で発生した音については反響するという事もなく、相応の残響時間をもって聞こえる仕組みとなっていた。外部遮蔽能力の高さを鑑みると内部でも無音に出来るのだろうが、そうしない合理的な理由もあったのだろう。  そんなベースの中に

          「ライフ・ディッガー #2 ラジオゾンデ」

          偉大なるお約束と、お約束を超える刺激を。HIGH&LOWシリーズについての散文

          1.はじめに "HIGH&LOW"とは、またこの記事の目的  この記事の目的は、日本を舞台にしたドラマ・映画作品であるHIGH&LOWシリーズについての紹介である。 簡単なあらすじと作品群の位置づけ、自分が思う作品の魅力についてを出来るだけ短めにまとめた記事としている。 友人達と話すとき、まあまあな人数に「ハイローはいいぞ」と勧めてきたがあんまり刺さってくれないので今回もうちょっと詳しめに書いていこうと思う。 2.簡単なあらすじ説明&WORSTシリーズの位置づけ ストー

          偉大なるお約束と、お約束を超える刺激を。HIGH&LOWシリーズについての散文

          他者に掛ける熱量と、その重さのはなし

          目次 はじめに よく言われる「優しさ」みたいなものについて 優しさと表裏の関係にある「重さ」について 時たま発生する「リセット癖」のある人について まとめと自己分析みたいなもの 最後に 1.はじめに 今回のnoteはちょいちょい自分の中で疑問にあがる「優しさってなんなん」みたいなところから書き始めている。 これを書いている2022年12月末、保護猫のレンタル業務がバチクソに批判されている。猫の命を粗末に扱うな!みたいなのが散見される一方、一旦業者側のように"批

          他者に掛ける熱量と、その重さのはなし

          短編「穴」

          夜の公園は、気持ちがいい。 春も、夏も、秋も、冬も。 晴れの日も。曇りの日も。雨の日もたまに。 ただ一人出向いて、街灯に照らされる木々の移り変わりと、たまに見掛ける人々を観測する。 考察はしない。そういうものではないからだ。頭の中をすっきりさせるための行為なのだ。難しいことを考えない。だから習慣化している。 考えないようにするというのは、意外と難しいものだ。 特に感情については。普段通り出社し、普段通り食事をし、普段通り帰路につく。 その最中にもそいつはやってくる。 孤独とい

          短編「穴」

          ウマ娘二次創作小説/蒼炎の彫刻

          1/ 雨上がりのバ場は、少し重く。沈み込む度に、走者の覚悟は大丈夫かと語りかけてくるようだった。湿度も高い。まだ春先だがやんわりと汗ばみ、土と芝の混ざった匂いが鼻腔を通り抜けていく。トレーニングを見届ける私にも、それらが走者を絡めとる見えない蔦のように張り巡らされ、スタミナをゆっくりと、しかし着実に奪うことは容易に想像がついた。私はこの空気を記憶で、身体で、感情で識っている。絶え絶えの呼吸で、弾けんばかりの感情のなか、喝采を浴びたことを。 目線の先ではウマ娘が一人駆けてい

          ウマ娘二次創作小説/蒼炎の彫刻

          「temperance」

          /1 「ユズルさん、夕飯が出来たよ」 手元の携帯端末に親からの連絡が届く。自室で寝ていた僕は連絡を受け取りつつ、画面をスクロールさせ回答を行う。 「親:響子の夕飯への同席を許可しますか?:」 「親:正樹の夕飯への同席を許可しますか?:」 今日はどちらもYESにした。断る理由が無いからだ。自室から出て、食卓へと向かう。共用廊下は無機質で、白塗りの壁と温もりという役割のみを与えられた、木目を模したフローリング、をさらに模した再生資材によるパネルによって構成されている。個

          「temperance」