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石の上に、もう三年|エッセイ


小さな頃から、周りの大人が良く口にしていました。
・石の上にも三年
・あれもこれもと手を出さずにひとつのことを究めるべし
・器用貧乏になるな

大人になり社会に出ると、係わる人たちから良く聞くようになりました。
・背景にある事柄に目を向けろ
・全体像を把握しろ
・選り好みをせず何でもこなせるようになれ

精神論や方法論だから、それぞれの良いとこ取りをすれば良い。
それは頭では分かっているのですが、何だか釈然としません。


若いうちは、自分にしかできないことを探しチャレンジすべし。
社会に出たら、現実を見て臨機応変に対応できる人間になれ。

どうしても "諦め" という言葉を遠回しに表現しているように思われます。


バイタリティーとは、こういうことを言うのかと思ったことがあります。
『三年経ったから、次のステップにチャレンジする。』
ある友人の言葉。
実際に転職をして、その後に起業をしました。

これぞ良いとこ取りでしょうか。
世の中に溢れている言葉と矛盾していません。


差し詰め、これまでの私はこんな表現かと思います。

石の上で三年経ったので様子を見ながら…
少し大きさの違う石を叩いたり…
少し形の違う石を叩かなかったりしながら…
たまに座り直している。


二度あることは三度ある、三度目の正直。
信じるものは救われる、正直者が馬鹿を見る。

先人の言葉は批判的精神が活かされ、総合的に良くできています。
だからこそ、言葉に振り回されるのではなく、自分の道標になる言葉を探すことの方が大事なのでしょう。

さて、石の上にも三年と言うけれど、本当に石の上で三年経ったらどうすべきか。
まずは、それが今後も座り続けるべき石なのか、自分の意思で決めた石なのかを、自身に問わなければなりません。

人生百年時代。
理想は、誰も持っていない自分だけの石を見つけ、座ることです。
そして、そこに固執せず、柔軟に石を移っていく姿勢も必要でしょう。

いずれにしても早く石を見つけなければ。

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