見出し画像

冬について(個展展示作品の話)


2023年2月28日~3月11日個展をやります

今年も無事(かどうかは明けてみたいとわからないものの)仕事を納めました。
noteの記事も2021年よりも多く読んで頂き、畏れ多くもまた感謝の思いでいっぱいです。
2023年3月、いよいよ個展を開催するまで写真を用いて創作を積み重ねてこれたことに誇りを持ちつつ、今の環境があってこそなので、関わっていただいた全ての方に深く御礼申し上げます。

2022年の振り返りと2023年の抱負につきましては、やはりこの創作と個展の話をしようと思います。

2013年の年明け(東北にて)

今回の展示は四季と彩りと生命の循環をテーマにしています。
ラテン語「vivere」は生きることを表しますが、viv-という接頭語にはvividにも通じる鮮やかさがあります。
「生」と色彩は強く結び付いています。季節によって太陽の光線は変化し、その影響下で我々は生きているためでしょう。

2012年の秋(京都)

「生」は私にとって、コントロールできないもの、そしてまばゆいばかりに美しく、畏怖し礼賛する対象です。コントロールはできないものの、おうかがいをたてながら暮らさせて頂く、そういうものです。そういった祈りにも近いものを写真で表すというのは、私なりの儀礼でもあり、記録でもありました。

冬について(model Misaki Nara)

展示では四季ごとに撮影したものを展示します。
その中でも冬の思い入れは特に強いです。
これをシリーズとして撮ろうとした時から、冬は無彩色だと考えていました。「生」には「死」がありますから。季節は巡る様に、生物は繁殖、世代交代を繰り返します。
「死」は生の全てではなく、あらゆる鮮やかな色彩と同様に無彩色があるのです。
これを「現実」として享受すること、それが私のこのシリーズでの祝詞です。

話はややそれますが、最も陽が低く短い冬至は、古くから重要視されてきました。
北欧やアイルランドの古い信仰では冬至を一年の起点とし、それが後にキリスト教と結びつき、現在のクリスマスへ至ると言われています。陽がまた高くなってゆく時、年も明けるということです。
そんなことを聞いて以来、私にとって関心の低かったクリスマスが、冬至をメインとする祝祭であるという認識によって、身近に感じられるようになりました。

冬は「巡る」時なのだと。

そんな気持ちで、只今個展準備を進めています。
冬のはりつめた空気が溶け出す頃、良い個展ができますように。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?