雨雲に告られました。#毎週ショートショートnote
シャボン玉に微かに映るささやかな虹を
いつまでも見ていたら、その透明で七色
に光るしゃぼんの中にすっぽり入ってい
ました。
樹々のみどりや家並みや知っていたはずの
ここからみえる風景はあたらしく。
不思議な気持に包まれながら身を任せてい
ると、そのしゃぼんの中でひとりのおとこ
のこに出会いました。
そのおとこのこは雲の子でした。
「きみがしゃぼんのなかの虹をいちど潜っ
てしまったら君は僕になるんだよ」
そのおとこのこは腕を組んでからかってる
みたいに告りました。
そのときあたしは思ったのです。
これが噂の告る雲かって。
都市伝説だった告る雲はもやっとしている
のにイケボでした。
この声になれるならとうんと返事しました。
あたしは雲の子どもである彼とはじめて手を
つないで虹の下を潜っています。
いつのまにか、あたしはかれでかれはあたし
になっていたのかもわからないぐらい、かれ
はあたしでした。
イケボなのに切ない声を漏らすと、街に雨が
降るのでした。
ジャスト410字!
⇩のお題「告白雨雲」に挑戦してみました。
この記事が参加している募集
いつも、笑える方向を目指しています! 面白いもの書いてゆきますね😊