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大門坂美恵子は、誰ともシェアしなくても寂しくはなかった。

この間、大門坂美恵子は、大好きなテレビドラマ

『大豆田とわ子と3人の元夫』を観ていた。

先週観たものだって、消さずに置いてある。

そしてエンディング曲にもはまる。

この間なんて、エンディングをなんども

リモコンかちかち言わせてみすぎて、

指が壊れたかと思ったほどだ。

はは~んって、溜息ついて。

はじめて、松田龍平をカッコいいと

大門坂美恵子は想っていた。

想ってはいたが、誰かとこの想いを共有したい

しぇあとかではない。

そしてしぇあできなかったとしても

大門坂美恵子は寂しくはない。

ひとりで想っていたいだけなのだ。

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誰に言うともでもなく①が松田龍平だ。

彼は自然現象のように女子にモテる。

通りすがった人もエレベーターのボタンを

押して扉が開いた途端に松田龍平演じる

田中八作を一目見ただけで、その場にいた

ものたちが恋に落ちる。

自然現象のようで重罪クラスのモテ方なの

だけど、意外と大門坂美恵子のポイントは

そこではなくて、別の所にあった。

その日はとわ子の幼なじみ、綿来かごめが中心と

なったエピソードだった。

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綿来かごめは、どんな人間かというと。

まず人の話は聞いていない。

それも大事な話ほど聞いていない。

そうそうほとんど手ぶらで。

買ったものはすぐ食べる。

コロッケとか。

とわ子とかごめは30年来の友達で。

気づいたら40だったっていうセリフと

大人になるまであとわたし100年ぐらい

かかるしさって、とわ子の家でもやし料理を

作りながらキッチンカウンター越しにかごめが

言う。

大門坂美恵子はもうその辺りでやばかったけど

まだ我慢できた。

その言葉を受けてとわ子が、

生きて見届けたいな。

って言うのだ。

すすった、すすった。

大門坂美恵子は、じぶんが半ばかごめの

生まれ変わりではないかと思いながら

観ていたので、とわ子のせりふに泣いた。

かごめは、「はな恋」の麦のように、

ジャンケンのルールがわからないって言う。

生きてゆくのが下手系なのだ。

だって美恵子もそうだ。

幼稚園の時の椅子取りゲームの頃から

人生ゲームに脱落しつづけていたから。

大門坂美恵子のことより綿来かごめだ。

彼女は昔小学生の時、とわ子とユニットを

組んで空野みじん子という名前でマンガを

かつて描いていたというエピがでてきて。

現在も一度置いてきたその夢に再挑戦しようと

しているかごめなのだけど。

深夜マンガを描きながらかごめは言うのだ。

恋愛はしたくないんだよ。この人好きだなぁ、一緒に
いたいなって思ってても、五條さん(かごめが言い寄られている
オーケストラ指揮者)
男でしょ。私は女でしょ。どうしたって恋愛になっちゃう。
それが残念。別に理由はないんだよ。恋が素敵なのは知っている。
きらきらっとした瞬間があるのは知ってる。ただ恋愛が邪魔。
女と男の関係がめんどくさいの。私の人生にはいらないの。
そういう考えが寂しいことは知ってるよ。私さたまに寂しい。
でもそれが私なんだよ。

コミックドラマだよ。

これはコミックドラマのはずなのに、大門坂美恵子は

どうしてこうやっていま、フリースの膝辺りに

涙落としているかわからなかった。

大門坂美恵子も恋愛することが邪魔だった。

仕事で恋愛になりそうになるとき、腹が立ったし

このままずるずると恋愛になってきらきらして

いたいなんてこともよぎったけど。

それじゃあ、好きな書く仕事もないがしろになって

気が散るだけ散って仕事を落としてしまうことを

痛いほど知っていたから恋愛を遠ざけていた。

そしていまは大門坂美恵子はひとりだけど。

この回でかごめはもちろんいいけど。

かごめにずっと寄り添ってくれるとわ子の存在が

羨ましかった。

大門坂美恵子にとって、とわ子になる人間は

誰もみあたらない。

恋愛にかまけたり恋愛しなくなったりしている

間に、友と感じられる関係を育んでこなかった

現実を目の当たりにして、ぶるっとした。

犬がシャワー浴びた後みたいにぶるぶるっときて。

ひとりだけ男友達がいたことを思い出していた。

そして今日もこの記事を書いた後、大門坂美恵子は

録画されている「大豆田とわ子と元3人の夫」

翻弄されつくす自分を思い描いていた。

繰り返す 波のように すれちがっても
また会える ログインすれば そこに居る君







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