4月23日に開催された鎌倉市議会で、「鎌倉市は自治体で初めて、子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)接種後の体調変化に関する調査を行った」と言っていたのが気になり、掘り起こしてみました。
鎌倉市が行ったHPVワクチン接種後の調査
4月23日の鎌倉市議会については、下記の記事で取り上げました。
2013年に鎌倉市が行った調査の結果については、公式のものは見つからなかったのですが、タウンニュースのサイトに記事が残っていました。
「現在も変調が続いていると回答した人は11人おり、生理不順が6人」と書かれています。昨日(4/28)、HPVワクチン訴訟の原告である倉上さんによる「おはなしの会」がありましたが(下記参照)、彼女は接種から13年経った今も、月経不順(過多月経、過少月経、周期の乱れなど)が続いていると言っていました。接種前は、そのような乱れはなかったそうです。この6人は、その後正常に戻ったのでしょうか。
世界日報にも詳しい記事がありました。上記の記事と重なる部分は除いて引用します。
神奈川県鎌倉市で副反応45% 全国初の子宮頸がんワクチン接種者調査 2013/12/12 世界日報 より一部引用
名古屋市の調査(下記参照)もそうでしたが、数字だけでなく、自由記入欄にも目を向けるべきだと思います。
上記は2013年の記事ですが、松尾市長と長嶋議員が登場しています。長嶋議員はHPVワクチンのときから、声をあげ続けていたのですね。
2021年の議事録にも、この件について語られている部分がありました。以下、12月6日と17日の議事録から引用します。
2021年12月定例会 第4号12月 6日
調査後のフォローについて
1年後の調査でも「そのうち数名から継続して体調不良を訴える声があり」とありますが、どのような症状だったのか気になります。「これ以上の対応は必要ない」というのは、回復したから必要ないのか、特に何もしてもらえないので意味がないと感じたからだったのか。その人たちが回復したかどうか、市として気にならないのでしょうか。
2021年12月定例会 第6号12月17日
健康福祉部の数字と実態調査のギャップ
長嶋議員は、健康福祉部が把握していた数字と実態調査の数字にはギャップがあったと言っています。そうであるなら、厚労省が把握している数字も、現実とはギャップがあったはずです。こういった調査を受けて、国はさらなる追跡調査をして実際の被害を把握して公開するべきではなかったのでしょうか。
厚労省が行った「祖父江班による全国疫学調査」をもとに安全だと言う人も多いですが、この調査だけで安全といえるとは思えません。なぜさらなる調査をしないのでしょうか。メディアによるミスリードの影響も大きいです(下記参照)。
そして、2022年4月から積極的勧奨が再開されました。成分が変わったわけでもなく、さらなる調査が行われたわけでもなく、接種と症状の因果関係がないと証明されたわけでもないのに再開したのです。
国は、接種後の症状に苦しむ人たちの治療法を見つけようともせず、「心因性」だというストーリーまで作り上げました。再開した背景には、WHOの意見と製薬会社からの「警告文書」があったことがわかっています(下記参照)。
26自治体の調査結果を検証した論文
鎌倉市の調査を含めて、26自治体の調査結果を検討した論文がありました。2013年~2017年に26自治体が行った調査の結果をもとに、HPV ワクチン接種後の体調変化について検証しています。2023年5月に公開されていたようですが、メディアは取り上げていなかったと思います。子宮頸がんの予防効果が少しでもあったという論文は大げさに報じるのに(下記参照)、このような検証は埋もれていきます。
やはり、政府が作り上げたストーリーからはみ出すものは、都合が悪いということなのでしょう。
薬剤師の方たちにも、ぜひ読んでいただきたい論文です。
HPVワクチン接種後の体調変化に関する調査について -26自治体のデータから- 公開日 2023-05-09 (論文全文のPDFより)
以下、考察から一部を引用します。
「国や医療機関そして製薬企業が認識している有害事象の頻度と、接種者への直接的アンケート結果に差があることが明らかになった」と書かれています。これは、長嶋議員の発言とも重なります。
26自治体の調査はどれも、積極的勧奨が再開される前のものです。再開された後こそ、実際に起きている健康被害を知るために、このような調査を大々的に行う必要があるのではないでしょうか。
<関連資料>
ヒトパピローマウイルスワクチン接種後の神経症状は,
なぜ心因性疾患と間違われるのか 髙嶋 博
(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 神経病学講座 脳神経内科・老年病学)
厚生労働科学研究費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業 子宮頸がんワクチン接種後に生じた症状に関する治療法の確立と情報提供についての研究 平成 29 年度 分担研究報告書
子宮頸がんワクチン接種後に生じた症状と病態の解析、治療法の検討
研究分担者 髙嶋 博 鹿児島大学神経内科 教授
「子宮頸がんワクチン接種後に神経障害を発症した患者の病態の本態は自己免疫脳症と末梢での自律神経障害と考えられた」
2019年8月6・7日 第60回日本社会医学会総会
「HPVワクチン接種後の「痙攣」関連症状の発生報告と、接種との因果関係判定の実態:厚生労働省公表の「症例一覧」表のまとめからの考察」 片平洌彦、榎 宏朗(臨床・社会薬学研究所)
日本の医師判断:「関連あり」とした医師が多数
2019年9月15・16日 日本社会薬学会 第38年会
「HPVワクチン接種後の副反応疑い症状と、接種との因果関係の判定の報告実態 (第2報)「記憶障害」の場合」
片平洌彦、榎 宏朗(臨床・社会薬学研究所)
日本の医師判断:「関連あり」が6割