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100年前の伝説講義が蘇る!時空を超えた「人生の本質」。【編地直送!#1】

『人生、何を成したかよりどう生きるか』内村鑑三
【2月18日(木)発売】

今こそ読むべき古典
日本を代表する思想家・内村鑑三が100年以上前に行った伝説の講義『後世への最大遺物』が現代語訳で復刊。編集は野本有莉。『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』等も手掛けたヒットメーカーである。編集者が生の言葉で、新刊を多角的に紹介する。

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編集者の情熱が、古典を照らす

ーー今日はよろしくお願いします。
こちらこそ、よろしくお願いします。自分の言葉で、読者の方に新刊の話が出来て嬉しいです!

ーー復刊の経緯をお聞かせください。
文響社はこれまで、『バビロン大富豪の教え』などの古典を発掘してきました。その流れで、過去の名著を探す中で出会ったのが、内村鑑三氏(以下、内村鑑三)の『後世への最大遺物』でした。これは素晴らしい!と感動し、企画が始動しました。

ーー編集で特に意識されたことは?
普遍的なメッセージを伝えることを心がけました。私は、本の価値は、昔から変わらない普遍的なものを伝えていくことにあると思っています。私自身、本には大きな影響を受けてきました。特に、小学生の時ですね。子供だから、あまり選択肢がない中、本ならいくらでも図書館で読むことが出来ました。これが私の原体験。本は、何も持たない人や、弱い立場の人の為にあるという感覚が自分の中にあるんです。だから、一部の人だけでなく、誰が読んでも役に立つ普遍的な本を作りたいという気持ちはずっとありました。

今こそ読むべき、自己啓発の本流

他人のために生きることや、自分の人生に向き合うことの尊さを説くメッセージは、古びることなく、令和に生きる我々の目にも鮮烈に映る。

ーー今の時代に刺さる背景は何でしょうか?
ここ2、3年で、人権意識や環境意識が一気に高まりました。これはつまり、自分だけでなく、他人のことを考える意識が広まっているということだと思うんです。特に、「Z世代」と呼ばれる若い世代はそう。例えば就職先を選ぶにも、その会社の社会的責任を問う人が増えている。そういう人達には、他者のために生きることを説く本書は共感されると思います。また、歴代興行収入1位となった映画『鬼滅の刃』では「強く生まれた者は弱い者のために力を使う」というメッセージが語られていました。どこまでも優しい炭治郎や、他人のために命を賭けて戦う煉獄さんが体現する価値観は、この本で語られることと通じるものがある気がして、この映画がこんなにヒットしている今、この本に共感する人も多いのではないかと思っています。

――タイトル中の「何を成したか」と「どう生きるのか」は、何が違うのですか?
私の定義では、前者は他者目線。一方で後者は、自分目線です。他者から見た分かりやすい成功をしなくても、一生懸命生きているだけで誰かの力になっているかもしれない。そんな意味を込めました。例えば、会社員にとって、従来型の「成功」とは、出世や独立になるのかもしれません。でも、そういう成功でなくても、真面目に仕事をする姿を見て、子供やパートナーは、立派だと思うものでしょう。自分のできる範囲で、しっかりと生きることの重要性を再認して欲しいです。

――内村鑑三は、「思想」を書き残すことを強調しています。SNSやブログで、誰もが書き手になる時代にどう読めばいいでしょう?
特に、「自分の言葉で書く文章が素晴らしい」というメッセージは心に留めるべきだと思います。「いいね!」の数を意識して、流行りのテーマを追って書かれた文章よりも、その人自身の言葉で、その人の日常や想いが感じられたときに、心が動かされるものです。内村鑑三の言葉に触れて、そういう人が増えたらいい。

編集者のこだわりが、本を輝かせる

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――内容面で特にこだわったのはどこでしょう?
まずは、言葉遣いです。読みやすく、分かりやすくすることは徹底しました。迷ったのは、今の時代では、差別的と受け取られる表現について。削除すべきかとも思ったのですが、解説の佐藤優先生ともご相談した結果、配慮の上で書き残すことにしました。内村鑑三といえども、時代の枠組みに影響を受けていたわけですし、それも含めて伝えていくことが大切だと考えました。

――佐藤優先生に解説を依頼された背景は?
佐藤先生はクリスチャンでいらっしゃり、内村鑑三についてお詳しいことが一つ。加えて、単純に学術的に読むのではなく、今の時代に本書をどう捉えるのかを読者に考えて欲しいと思いました。コロナ禍の2020年を考えるために、教養が大変豊富で、時事にも通ずる佐藤先生にお言葉をいただきたいと思いました。

――デザイン面も素敵ですね。
私は、本のデザインにはこだわりのあるタイプなんです!自分自身、本をジャケ買いするし、して欲しい。本というモノとして素敵じゃん!というきっかけで手に取ってもらいたい。今回の装丁は、水戸部功さんに依頼しました。ビジネス書や文芸書で有名な装丁家さんです。イメージしたのは、海外のオシャレな手帳。水戸部さんならではの、フォントの美しさや上品さを出していただきました。

懸命に生きる、全ての人への応援歌

――この本をどんな方に読んで欲しいでですか?
今、迷いを感じている人や、不器用で自信を無くしている方に読んでいただきたいです。器用に立ち回れなくても、一生懸命、真面目に生きている自分の生き方に自信を持って欲しいと思います。

――最後に、この本を読み終わると、どう生き方が変わると思いますか?
自分の人生に、改めて真摯に向き合うようになると思います。今の社会では、他人のために生きること、正直に、真面目に生きることが軽んじられているように感じます。それよりも、いかに効率的に成功するかというノウハウを語る声の方が大きく聞こえます。内村鑑三の言葉に触れて、そうじゃない生き方もあるということを知って欲しい。結果的に、そういう人は応援されますし、何よりその生き方自体に価値があるのだと思います。

――本日はありがとうございました。

〈インタビュー後記〉
本書は、自己啓発的でありながら、いわゆる「成功」だけを善とはしない。金や事業を残す重要性を認めた上で、「いかに生きるか」こそ最も重要であると説く。このメッセージは、分かりやすい成功物語を歩むことが難しくなった今、我々の胸に強く響く。編集者・野本有莉が現代版にアップデートしたことで、バトンが次なる後世へと繋がれた。人として大切なことを説く普遍的な言葉は、色あせることはないだろう。

企画・執筆 : 出版マーケティング部 中西亮
ビジュアルデザイン:同部 にしくらみお

〈編集者プロフィール〉

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野本有莉(のもと ゆり)
1989年生まれ、横浜出身。2012年、新卒で通販会社に就職しアパレルの商品企画やカタログ制作を行う。在職中に(株)宣伝会議の編集ライター養成講座に通い、2015年、未経験で編集者として海竜社へ転職。2017年に文響社へ転職し今に至る。主な担当書籍は『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』シリーズ、『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(料理レシピ本大賞料理部門入賞作品)、『もしも1年後、この世にいないとしたら』、『PIXAR』など。編集者としてのテーマは「人にやさしい本作り」。

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