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『現代天文学入門』中間試験2024
今年も学部生の教養科目向けに『現代天文学入門』の講義を開講しており、中間試験を実施しました。ちなみに、2023年の中間試験の問題はこちら。
そして、2024年の試験問題はこちらです。
第一問は、「天文学は2000年以上の長い歴史を持っているけど、特に近年の天文学の発展は目覚ましいのは何故か?過去の天文学の歴史と比較して議論せよ」という問題です。近代科学の始まり、その後の科学技術水準の向上、国家
宇宙論で誤解されがちなこと
私の専門は宇宙論、特に観測的宇宙論です。宇宙論は宇宙の起源や進化、構造、さらには宇宙の終焉などを探求する科学分野です。壮大な世界を取り扱うからこそ、一般の人に興味をもってもらいやすい一方で、誤解をもたれやすい分野でもあります。そこで、いくつか誤解されがちな内容を取り上げていきたいと思います。
1. 宇宙は「ビッグバン」という『爆発』によって誕生した。
私達の住む宇宙は現在、膨張を続けています。
「宇宙にある何かを好きなところから好きな手段で計測し正確な結果を得られる機会を神から一回だけ与えられたら何をどこからどのように計測したいですか?」
とてもシンプルで、かつそこまで面白くない回答かもしれませんが、「宇宙に存在する星の距離」を一つ一つ測定してみたいです。例えば、我々にとって最も近い恒星は「太陽」ですが、太陽までの距離は約1億5千万㎞です。
太陽と地球の距離が分かると、「年周視差」と呼ばれる方法を使って、およそ1000光年程度くらいまでの星の距離を測定することができます。年周視差を用いた距離測定に関しては、以前、記事を書いたのでそ