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ブランドの「強み」は、わからない ②

市場ニーズからビジネスを考えることは大切ですが
皆さんが何者かを考えることはもっと大切です。

自分や自社のことがみえてなくて、お客さんのことはみえてきません。
強いブランドは自社がよくみえており、その延長線上にお客さんがみえています。

前回ブランドの「強み」のお話をつづけていきます。今日は、
一つのブランドの強みには、いろいろな見られ方があるということを認識することが大切」というお話をします。


たとえば、ブランドの強みにはいくつかの視点があります。

[強み 1]A社が考える、自社の「強み」
[強み 2]リピーターさんが評価するA社「強み」
[強み 3]一般のお客さんが評価するA社「強み」
[強み 4]未知の「強み」※1〜3の視点からは見えていない


ここでは一般のお客さんとリピーターさんの違いは、サービスの購入する回数の違いや購買回数では計れないブランドへの愛着度を言っています。
強みに対しては同じ意見であったり、近しかったり、全く異なっていたり、意見が分かれるなど、バラバラです。得てして、

ブランディングがいきとどいている事業は、
自社もお客さんも
同じ「強み」をみている傾向は高い。


つまり図式にするとこんな感じでしょうか↓


「強み」の共有 = 強いブランド




ただ、一般的にはこれに該当しないケースが大半だと思います。お客さんは実に好き勝手にブランドを評価するため、強みの感じか方もバラバラです。
ここではせめて、上にあげた1、2の自社とリピーター間が同じ「強み」を感じられるものであることが望ましいです。さらには、3の一般のお客さんでさえ同じ強みを感じられたらそれに越したことはないわけです。

自社もお客さんも同じ「強み」を感じられるようにすることは、

結果的にブランド価値を高め、
ブランド価値の伝播を、
より円滑に広める要因に。


具体例をあげます。

先日日本橋の三越で1階で催しものコーナーで素敵な柄の服を見つけました。
その服の柄にはかわいい動物がプリントされていて、彩度が高い配色でした。
たとえばブランド側は、ブランドの最大の強みは配色[強み 1]だと認識していたと仮定します。
一方で、コアなリピーターさんはテキスタイルの柄[強み 2]だとおもっているかもしれません。
あるいは、コーナー横を通りすがりのブランドを初めてみた一見さんは、もちろん配色も柄も好きなのですが、その催し物でしか買えない、機会の希少価値[強み 3]かもしれません。実際のところお店側に確認したら、イベント販売のみで洋服の販売は基本的にオンラインでは受付はしていないという回答でした。


[強み 1] 配色
[強み 2] テキスタイルの柄
[強み 3] 機会の希少価値
[強み 4] 未知

1、2はデザインで、3は届け方のマーケティングの話にはなりますが、それぞれが別々の強みとなります。たとえば配色が最大の強みだとしたら、あざやかな配色が似合う比較的若年層の女性などにアピールする場所、つまり日本橋ではなく、渋谷や新宿などの百貨店で展開を検討してみたり、学生などが比較的休みに入る時期を狙ってタイミングを図ってもいいかもしれません。テキスタイルの柄が最大の強みでしたら柄のバリエーションや、同じ柄をつかってアイテムバリエーションを増やすなどが考えられますよね。
ここでポイントとしては、リピーターから評価される強みだけでブランドの強みは語れない。ということです。


ではこれではどうでしょう。


[強み 1] テキスタイルの柄
[強み 2] テキスタイルの柄
[強み 3] テキスタイルの柄
[強み 4] 未知


お店側も、リピーターさんも、通りすがりのお客さんも、ブランドの一番の魅力、強みはテキスタイルの柄だと認識しています。
こうなると、ブランドを発信する側も受け取る側も共通の価値をもっているため、


「服は何をつくればいいか」明確
↑お店側/企画製造

「発信をどうすればいいか」明確
↑お店側/マーケティング

「何を口コミすればいいか」明確
↑お客さん/情報拡散


同じ価値の共有がおこると、以上のようになると思います。

そして最後にひとつだけ。

強みには、「当然、自社のことがわかっている」
と思われているみなさんが、
まだわかっていない強みが
眠っているかもしれません。

これを上の例で[強み 4]未知 としました。
次回以降、それを一緒に発掘していきます。

鉢植えの、強みという名の根の成長を測るには、
葉や枝ぶりにとらわれず、一回土を掘り起こせば
それが近道かもしれませんね。


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