【小説】空蝉のふたり〈八〉最終話
八、款冬華 ―ふきのはなさく―
「障害者差別解消法のパンフ、突き合わせ終わりました」
「じゃあ次、これお願いできる? 『わかるWordPress』」
今日もゲラと向かい合い赤ペンを走らせる。今朝は雪が降り肌を刺すような寒さだった。健吾の成人式の日も雪が積もり、会場へたどり着くまでに相当時間がかかって凍えたらしく、式中も震えっぱなしだったと言っていた。
夫との離婚は先月の中ごろ成立した。元夫と言うべきだろうか。DVは、わたしが勝手にチェストを倒して怪我をしたと言い、はじめ