俳句を読む 64 清崎敏郎 氷屋の簾の外に雨降れり
氷屋の簾の外に雨降れり 清崎敏郎
子供の頃、母親のスカートにつかまって夕方の買い物についてゆくと、商店街の途中に何を売っているのか分からない店がありました。今思えば飾り気のない壁に、「氷室」と書かれていたのでしょう。その店の前を通るたびに、室内に目を凝らし、勝手な空想をしていたことを思い出します。氷屋というと、むしろ夏の盛りに、リヤカーで大きな氷塊を運んできて、男がのこぎりで飛沫を飛ばしながら切っている姿が思い浮かびます。掲句に心惹かれたのは、なによりも視覚的にはっきりとし