「健全な競争」で「共存」を

↑で紹介されているのは、北海道浦河町にある6畳のプレハブ書店です。

営業は週3日ぐらいで新刊の入荷は月に50冊程度。いちばんの売れ筋は「絵本」とのこと。

たしかに絵本ならすぐ読めるし、老若男女誰もが楽しめます。贈り物にもしやすい。そしてこういうお店では、大型書店ではなかなか置いていない名著が何気なく棚に潜んでいるのです。

かくいう私も、初めて行く町の本屋では絵本を手に取ることが多いです。数年前に清澄白河を訪れた際は、たまたま入った古書店で↓を衝動買いしました。

素晴らしい一冊です。「ぼく、いつかホームランを打つよ。でも、その前にまずヒットだね」の一言がいまも胸に残っています。

ただ先ほど調べた限りでは「紀伊國屋書店・新宿本店」や三省堂書店・全店舗で在庫なし。一瞬ネガティブな気持ちに襲われました。でもよくよく考えたら、これはむしろ「本屋の可能性」ではないでしょうか? こういう本を売ってくれる小さなお店とベストセラーを並べる大規模店なら同じエリアで互いを補完し合えます。

たとえば篠崎。駅前に「CROSSBOOKS 篠崎駅前店」があります。リブロの系列でチェーン展開している新刊書店です。そこから10分ほど歩くと「読書のすすめ」が見えてきます。他ではまず出会えぬ貴重な名著が多数置かれている熱いお店です。

つまり近隣に住む人は、目的に応じて両者を使い分けることができる。これならスーパーマーケットがシャッター商店街を生み出すような事態にはなりません。

池袋と新宿に店を構える「新栄堂書店」のHPに「本を通じて地域の知的生活向上に貢献し、人の歴史と未来の足取りに寄与します」とあります。こういう志を共有したうえで各々が各々のやり方で利益を出し、共に生き残る。そんな健全で公のためになる競争をしていきたいと改めて思いました。

「ひとつの町に少なくともふたつの書店」が理想です。

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