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「ABC」と「FCB」から学んだこと

東京・表参道にある青山ブックセンターは私が最も好きな書店です。

そこそこ広くて在庫も豊富。なのに小さな個人経営店みたいにフットワークが軽く、新たな試みを次々に打ち出してきます。このアウフヘーベンは本当にすごいこと。さすが山下店長です。

全国展開している大規模店では、各店長の個性や美学が前に出にくい。ゆえにどこも同じに見えてしまう。もちろん足を運べば「こういうお店にしたいのか」と感じ取れます。でももっと「○○書店の××店はここが違う」というものを明快に打ち出せれば、お客さんにとって「単なる本屋」以上の存在になれるかもしれない。。。

サッカーのFCバルセロナは「クラブ以上の存在」がスローガンです。勝つだけではなく内容も伴わないといけないし、選手は社会人として尊敬されるように謙虚であることを求められます。現実的には難しい。でも高い理想に向けて試行錯誤する過程の中で人や組織が成長するのもたしかです。

いまの青山ブックセンターはバルサみたいな「書店以上の存在」に近づいています。月並みな表現をするなら文化の発信地というか、様々なジャンルで活躍するアクの強い人びとの本が集うハブ空港になりつつある。ドミニク・チェン、小倉ヒラク、森田真生、北村みなみなど、このお店のおかげで存在を知った魅力的な方がたくさんいますから。

同じ表参道の山陽堂書店、千駄木の往来堂書店、田原町のReadin' Writin'、篠崎の読書のすすめといった個人経営店も足を運ぶたびに感銘を受けます。でも青山ブックセンターでもらえる刺激は書店とか本というジャンルを超えた「ここが最先端」みたいな高揚感なのです。

「ここは本を買うためだけの場所じゃない」「このモチベーションが上がる感覚はここでしか味わない」というスペシャリティ。でもそれはユニークで目を惹く選書があってこそ。BGMも含めて「書店2.0」のヒントが随所に散りばめられています。

「書店以上の存在」を目指す、という意味では大規模店の方が状況は厳しいのかもしれません。でもできることは必ずある。日々押し寄せる業務の中で考えることと試すことを続けていきます。

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