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やっぱり人間最後は「○○○」

推定年俸200万ドル(当時のレートで約2億1000万円)の2年契約。一軍では昨年挙げた1勝のみでした。流暢な日本語でヒーローインタビューに答えていたのを覚えています。

こういうことがあると、決まって「不良債権」「阪神が高年棒を払って獲得した選手は活躍しない」と叩かれます。

たしかにプロは結果がすべてです。数字だけを見れば批判されても仕方ない。でも彼の力はこんなものじゃありません。球の速さこそ往年よりも落ちましたが、キャリアに裏打ちされた投球術は見応え十分。肩の痛みがなければもっとできたはずなのです。

本来の実力を出し切れない。それがいまの実力かもしれない。でも故障を抱えながら新たな職場にトライし、矢尽き刀折れた人を悪く言いたくない自分がいます。しかも彼は「大金もらえるからいいか」と二軍でいい加減に遊んでいたわけではないのです。

肩の痛みに苦しむ若い左腕投手にアドバイス。千葉ロッテ時代もそうだったとか。頭が下がります。ファームに来るベテランの中には、実績に甘えて先輩風を吹かせるだけの人もいるみたいなのに。

私の営業マン時代にも、売り上げこそ良くないけど有益な助言をくれる先輩がいました。彼の教えがなかったら早々に潰れていたはず。書店員になったいまでも、咄嗟の際の「引き出し」として役立っています。クレームに発展しそうな案件を切り抜けるときとか。

いつか伊藤投手が大成すれば、それが最高の恩返しです。仮にそうはならなかったとしても、もらったアドバイスは人生の様々な局面で必ず活きます。その実感と経験をまた若い人に伝えていけば、いい連鎖が広がっていく。

中日時代、専属通訳がいない状況で必死に日本語を覚えたチェン投手。やっぱり人間最後は人間性ですね。また何らかの形で阪神に協力してくれることを願っています。ありがとうございました。

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