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「自己満足」≠「独善」

「チ。―地球の運動について―」を読むと全身に電撃が走り、叫びたくなります。

↓は著者・魚豊(うおと)さんの受賞コメントです。

「面白い漫画が読みたかったら過去の膨大な名作を読めばいい」
「僕の漫画は他の誰でもない、僕にとってすごく必要」
「漫画は僕に勇気を出させて、挑戦させて、冒険をさせる要素があります」
「自分の漫画は自分しか描いてくれない」

森博嗣さんもエッセイに書いています。「自己満足こそが『幸せ』に相応しい感覚である」と。「自分が好きでやってきたことの良し悪しを他人の評価で左右されない姿勢を持てば、結果にかかわらず努力を楽しめる」みたいな趣旨でした。

おかげで思い出しました。結果が出たら楽しい。出ないとつまらない。その二者択一に縛られている時点ですでにつまらないことを。

社会人は結果がすべて。数字がすべて。真理です。でもそんなのは「呼吸をしないと生きていけない」と同等の論じるまでもない大前提。もしくは「朝食はパンとコーヒー」みたいな初期フォーマット。正しいけど決して唯一の絶対的価値観ではない。

以前勤めていた営業会社では、マニュアルトークでいい成績を上げている同僚はひとりもいませんでした。各々が各々のキャラクターを活かした我流。オリジナル。もちろんお客さんと勝負できる域へ達するまでのプロセスでは基本を学ぶことが不可欠です。ゼロは何を掛けてもゼロだから。

でももういいでしょう。ベーシックを十二分に身体へ染み込ませ、お金も第三者の評価も大切とわかったうえでの「自己満足」なら。岡本太郎さんが「ぼくは成功しないことを目指している」と語った理由をようやく掴めた気がします。言葉ではなく実感として。

己にとって必要なものを創る。そうすれば少なくとも自分だけは永遠に楽しめる。お客さんのありがたさと客観性の価値を踏まえたうえで「独善」ではない「自己満足」を追求していきます。

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