見出し画像

長嶋一茂という「教訓」

いまは阪神ファンですが昔はヤクルトファンでした。

応援していた選手は宮本賢治投手。わかりますか? アンダースローの。子どもの目にはあの投球フォームがカッコよく映ったのです。

さて長嶋一茂選手の1年目。何となく覚えています。私が初めて見たのは巨人戦。荒井選手(バットを構えるときのお尻を振る仕種が有名だった)の代打で出てきました。球場はもう大騒ぎ。結果はサードゴロでした。

他の日の巨人戦でも代打で登場し、タイムリーツーベースを放ちました。少し前の阪神における伊藤隼太選手(現・愛媛マンダリンパイレーツ)みたいな位置付けでしょうか。打率や守備、走塁はともかく、長打力と一打席に懸ける勝負強さが武器だったのかなと。

多くの先輩から「素質は父親以上」と認められていたようです。体格にも恵まれていたし。でもあまり練習しなかったとか(助言してくる人が多過ぎて混乱したという話も)。

野村監督に嫌われていたという噂もあります。でも仮にそれが事実だったとしても、一茂選手が勝つために欠かせない存在だったら私情を抜きにして使ったはず。楽天時代もノムさんはメジャーから出戻った福盛投手を当初は邪険にしていました。でもいいピッチングが続くとクローザーに固定し、失敗してもかばうようになったのです。

もし一茂選手がノムさんに「一から鍛え直します」と頭を下げ、日頃の生活態度及び練習の質と量をガラッと変えたらどうなっていたか? 開幕戦三連発の小早川選手ぐらいの実績は残したでしょう。日本シリーズで代打サヨナラ満塁弾を打ったのも杉浦選手ではなく彼だったかもしれない。

チャンスを掴むも流すも本人次第。そして素質がある=成功を収めるとは限らない。大切なのは日々の積み重ね。いい教訓をいただきました。あとは他人のアドバイスはあくまでもきっかけで自分主導で動くこと。

ところでK-1の解説をしていた際、アーネスト・ホーストのローキックを「噛みつくようなローですね」と評していました。当時は「?」でしたが、いま考えると斬新で絵の浮かぶ表現だなって。父親譲りのユニークな感性、私はけっこう好きです。

作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!