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「1の戦闘力」を隠し持つ「4列目」

小学生の頃、進学塾へ通っていました。

当てられて答えられないと罵倒され、ペンを投げつけられ、頭を叩かれる。そして帰宅させられるか廊下で自習です。教室の机は4列。テストの成績で座る場所が決まりました。

入った当初はいちばん後ろの4列目。中学受験をする意志などなく、嫌々通っていたからやる気ゼロ。最初の数か月はクラスの底辺でした。

3か月後に1列目へ昇格。初めて座る際「4列目から1列目」という誰かの呟きが聞こえて誇らしかった。でもいま思うと半分ビギナーズラック。周囲の目が重荷になってきつかったです。

与えられた課題ができず、居残り学習をさせられました。1列目の他のメンバーはさっさと帰り、私だけが4列目の生徒に混ざって廊下で自習。「できないものはしょうがないよね~」みたいな連中とぼそぼそ話しながら勉強するのは楽しかったです。

やがて先生に呼ばれました。

彼は解いた問題の採点をし、出入り口のドアを見ながら囁きました。「おまえはあんな奴らとは違うんだから」「ああいうのに染まっちゃダメだぞ」

もちろん嬉しかった。一方「あんな奴ら」のおかげで気持ちがラクになったのも事実でした。そして「あんな奴ら」の中にも、発想のユニークな人や博識で頭の回転の速い子がいたのです。

ずっと1列目に留まっていたエリートは「あんな奴ら」をただ見下していたはず。私は4から1へ行き、4の連中とも親しかったから両者の長所に触れることができました。

某書店の末端で働いています。最低賃金の4列目です。でも同じ会社の1列目に座る連中と比べ、本に対する愛情や商品知識、業務への目配りが劣っているとは思わない。

業界を変えるために1へ行くべきか。どうせなら4から変えたい。1の戦闘力を隠し持つ4として。

1の面々から「あんな奴ら」と見下されても気にしない。向こうのいいところを吸収して糧にするのみ。やっていきます。

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