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「司馬遼太郎」から始める「日本史沼」

なんと。

司馬遼太郎さんの生誕100年を記念する企画展が、全国の旭屋書店で8月末まで開催しているそうです。

都内だと池袋の東武百貨店、そしてJR大塚駅の駅ビルにあるはず。何度か足を運びました。ポイントを押さえた豊富な品ぞろえと使い勝手のいい印象が残っています。ぜひ。

ちなみに学生時代、初めて読んだ司馬さんの本は小説ではなく↓でした。

エッセイです。ただ当時の私はいわゆる「司馬史観」に批判的で、その読後感しか残っていません。いま考えると、後出しジャンケンな態度だった気がします。たしかに21世紀の日本で「司馬史観」をそのまま全面的に受け入れるのは無理がある。でも書かれた時代における現代性を考慮しないのもフェアじゃない。

「中庸」を少なからず意識しているいまなら、また違った何かを受け取れるかもしれない。実際1巻と2巻を再読しているのですが、ただただ腑に落ちるというか首肯できる主張ばかり。古代から近代まで、どの時代に関しても一家言を持ち、ユニークな着眼点から説得力に満ちた論を展開しています。

特に印象に残ったのは、超法規的を自ら任じていた昭和の参謀本部に対する憤り。しかし現代の日本では、あろうことか選挙で選ばれた議員によって構成されている内閣が憲法を守らないなんて事態が起きました(たとえば安倍政権による臨時国会召集拒否)。司馬さんが生きていたら、どう書いていただろう。。。

話を戻します。

彼の小説で特に好きなものを一冊紹介させてください。

最強の鉄砲隊を駆使し、時の権力者に抗い、独立性を保ち続けた紀州の雑賀衆。そしてそのトップである雑賀孫市の痛快な生き方に惹かれました。完全なフィクションですが、おかげで雑賀衆の実態を知りたくなり、↓を読むきっかけになりました。

代表作とされる「竜馬がゆく」もそうですが、司馬さんの小説はまず文章のテンポが絶妙です。おかげですんなりと物語の世界へ入っていける。そして気がつくと、魅力的な登場人物があたかもそのままの形で実在したかのように受け取ってしまう。なんとも罪深い作家です。

無我夢中。だからこそ「実際はどうだったんだ?」とあとで気になり、史実を調べたくなるのです。ちょうどかつての私が「この国のかたち」を読んで「本当にそうか?」と首をひねり、日本人の歴史認識のあり方について未熟なりに考えを巡らせたように

まずは気になる司馬さんの本を一冊。次はその時代や人物に関する専門書に挑む。今年の夏休みは、そんな感じで「日本史沼」にどっぷり浸かってみませんか?

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