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「筋」を通す「非日常」の戦士
オーカーン「辻、上村、教えてやる。テメーら、絶対成功しない。海外に行きたい? 行ったらいいじゃねえか、オイ!順番待ちしてんのか? 行きたきゃ行けばいいじゃねえか。勝手に行って、逆輸入されたレスラーだっているんだぞ。それと海外に何を夢見てんだ?」
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) June 23, 2021
全文はhttps://t.co/PQJ7KTPggB pic.twitter.com/3ymepF4G2A
オーカーン「ここは世界一の団体で、世界一のレスラーと戦ってんだぞ? 何を海外に求めてんだよ。テメーらの頭の中には、試合も移動も給料も全部全部用意してもらって、甘えてんだよ!それがムカつくんだよ(中略)この3年間、行けねえのはテメーらが甘えてっからだ」
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これは刺さりました。
海外への長期遠征はスターへの通行手形です。コロナ禍でそれが許されない後輩たちに向けた、オーカーン選手の厳しくも温かい叱咤。筋が通っていると思いませんか?
言うまでもなく「勝手に行って逆輸入されたレスラー」とは彼自身のこと。2018年、当時キャリア1年の新人だった岡智之選手は新日本プロレスとイギリスRPWの合同興行に出場するために渡英。そのまま留まる形で半ば強引にチャンスをもぎ取ったのです。
会社に完全に逆らったわけではないのですが、少なからず意向に背いたのはたしか。相当な覚悟が必要だったはず。
ちなみにこういうケースで「完全に逆らった」レスラーもいます。1995年の西村修選手。1月のドーム大会に戻って来いという命令を無視してアメリカに留まり、給料をストップされたとか。その後は大技を連発する現代プロレスを否定し、クラシカルなレスリングを打ち出す「無我」スタイルを確立。ガンも克服し、いまや文京区議会議員です。
他団体ではWWEで活躍したTAJIRI選手。彼は大日本プロレスを無断で辞め、退路を断った状況でメキシコへ渡り、やがてアメリカで成功を収めました。
やっぱり非日常を生き抜いてこそ夢を売るプロレスラー。「やればいいじゃないか」と言われても我々にはこういう一本筋の通った生き方は難しい。正直悔しいし、とても励みになりました。
と同時に「じゃあ東京五輪に出るアスリートは?」と感じました。飲酒を容認するとかしないとか話が二転三転していましたが、そもそも選手の側から「こういう状況だから競技に専念します」「観光もなるべく控えます」みたいな謙虚な発信がもっとされても良かったはず。それが筋じゃないのか、と。
オーカーン選手にそんなつもりがないのは理解しています。それでも「全部用意してもらって、甘えてんだよ!」という叫びが私の中の東京五輪に対する疑問を結果的に代弁していて、どこか気持ちが救われたのです。
時代に合った「対世間」要素はスターの条件。彼もいつか西村選手みたいにプロレスの枠を超えた位置へ上り詰めるかもしれません。
作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!