見出し画像

「自動発注」と「自発性」

大型書店の多くは「自動発注システム」を採用しています。

ある本が売り切れると、わざわざ注文しなくても取次が1冊入れてくれるのです。手間がひとつ減るので便利といえば便利。ただ取次にないものは入らないし、あるはずなのになかなか来ないこともしばしば。

棚に1冊だけ欲しい本の場合は悩ましいです。痺れを切らして発注した途端に入荷したり。まあ2冊あってもいいんですけど。

あと注意すべきは客注で取り寄せて売った本。仮に返品不可の買い切りであっても、やはり自動的に入ってしまう。特に何万円もする高額本はまずいです。買ってくれる人はそうそういませんから。

これを防ぐ方法はふたつ。ひとつは入荷時に端末を操作し、その本の自動発注を止める。返品のできない倒産版元の本を棚に出す場合も一応やります。

もうひとつはレジで「非補充」の指定を掛ける(やっていない書店もあります)。ただ、いくら「客注を売る際は必ず非補充にしてね」と言っても、繁忙期のレジ担当はそこまで頭が回らないことも少なくない。だから先述した買い切り&高額のものは入った時点でひとつめの方法を使い、「非補充」にしてしまうケースが多いです。

なお、ふたつめに関しては応用編もあります。レジで客注本(=店に置いていない)を売る際、それが自分の担当ジャンルでしかも面白そうなものだった場合はあえて「非補充」を掛けず、自動発注で入るようにするのです。

とにかくレジ業務はヒントの宝庫。正確に打つのは当然ですが、なおかつプラスアルファの情報をいかに掴むか。よくビジネス書に「指示待ちになるな」「自発的に動こう」と書かれていますが、書店員は基本となるレジにおける姿勢から差が出ます。「○○が今日だけで3冊売れました」みたいなことを担当に言える人は伸びますね。

「自動発注」に頼るのではなく、自発的に活用する。それができればAI社会も怖くないと思っています。

この記事が参加している募集

最近の学び

作家として面白い本や文章を書くことでお返し致します。大切に使わせていただきます。感謝!!!