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「新刊発売日」が店によって違う理由

「ムーン・パレス」「オラクル・ナイト」などで知られる文豪ポール・オースターの幻のデビュー作。しかも私立探偵ものです。クールな装丁からハードボイルドの香りが漂ってきます。

発売日は本日29日。しかし先週末に買えた人もいます。なぜか?

原因は「新刊の入荷が発売日前日の午後か、それとも当日の朝か」の違いです。

都内の一部大型店では、翌日発売の雑誌と書籍が前の日の午後に入ります。朝の荷物は注文した補充用の既刊だけ。トラックが1日に2回来るという意味で、このシステムを「二便」と呼びます。

「二便店」であっても雑誌及び雑誌コードの付いたコミックは発売日にならないと棚に出せません。ところが書籍は協定品じゃない限り、入荷した日に売り出してもOKなのです。

一方、大多数の書店では雑誌&書籍の新刊が発売日の朝に入ります。補充分と一緒に。これが「一便」です。

ちなみに先週は土曜が休配(雑誌も書籍も発売がない)でした。ゆえに「二便店」では月曜発売の新刊が金曜の午後に入りました。「一便店」より3日も早く新刊を売り出せたわけです。

「一便店」は雑誌の梱包を発売日の朝に開け、付録を挟み込み、大量のコミックをシュリンクします。書籍の新刊と補充分もある。新刊と雑誌は開店前に棚に出します。

「二便店」では雑誌は前日の午後に入るので、ある程度余裕を持って作業できます。さらに新刊を発売日よりも早く売れる。

明らかに「二便」の方がいい。でもほとんどの書店は「一便」です。唯一のメリットは「午後の荷物に人手を割かずに済むから中番や遅番を減らせる」ことだと言われています。

いわゆる「フラゲ」を当然と考えるお客さんが時々いらっしゃるので書いてみました。いつもありがとうございます。お待たせして申し訳ございません。入ってきた本はすぐに棚に出すことを心掛けています。ご理解いただけると幸いです。

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