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ハードボイルド書店員が最も好きな「正しい探偵」

驚きました。

↓で来月の文庫新刊をチェックし「岩波からまた太宰治が出るのか」「新潮で揃えているのに欲しくなっちゃうなあ」と考えていたら、9月13日発売の講談社文庫を見て言葉を失いました。

そうです。京極夏彦「鵼の碑」が単行本&ノベルスの発売から1年でまさかの!!!

1344ページで値段は税込1870円。ボリュームも価格も文庫の枠を大きく上回っています。これぞ京極クオリティ。

2023年のいまごろは待望の新刊発売に合わせ、百鬼夜行シリーズで最も印象深い「絡新婦の理」を再読しました。今年も何か読もうかな。一作目の「姑獲鳥の夏」か、あるいは「鉄鼠の檻」か。

いや違うな。己に正直になろう。

前にも書きましたが、私は薔薇十字探偵社を率いる傲岸不遜な私立探偵・榎木津礼二郎の大ファン。なので↓にします。

榎木津が主人公を務めるスピンオフです。既読の方は「あれ?」と思ったかもしれませんね。こちらは二冊目で「百鬼徒然袋 雨」が先に出版されているから。

もちろん「雨」も忘れ難い一冊。でも私が所有している「風」の帯には、こんな文言が書かれているのです。

僕はこの世でただ一人の正しい探偵、榎木津礼二郎だ!

これだけじゃありません。側面にも以下の文章が。

待たせたな! 僕だ。うはははは。

現実にはこんな人いません。いるわけない。いたとしても、嘘と背伸びが直ちに露見する。榎木津だからできるのです。そして彼の言っていることはすべて真実。決してハッタリではない。だからこそ心の底から痺れて憧れるのです。

普段の私は「帯はなくてもいいかな」派です。しかしこの本だけは帯に感謝かもしれません。

9月13日が待ち遠しい。それまでは「風」を楽しむことにします。よかったら皆さまもぜひ。

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