【推理小説】『黄色い菓子の謎』第20話(最終話)
20.終章丸一日振りの我が家である。ここに来て急に疲れが出た九子は、居間にごろりと横になった。すると、その目線の先に図録の背表紙が見える。その瞬間、どこかで見たことがあると思っていたあの卵型の正体を思い出したのだった。
図録をめくると、<ファベルジェの卵>が載っていた。あの写真にあったものとそっくりな。
その製作者である金細工職人の名を冠す<ファベルジェの卵>は、十九世紀後半から二十世紀前半にかけて、ロマノフ王朝の皇帝へ献上するために作られた。金や宝石で彩られた贅沢華美な飾り