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概念の壁をどんどん超え続ける、ジュリアン・オピーという作家について

「ジュリアン・オピー」ってゆうアーティストがいるんですよ。
ぼくはこの人の作品大好きで、非常に影響を受けています。
この前東京で開催された展覧会に行ってきたのですが、相変わらず概念の壁をガンガン超えてきていて、びっくりしました。
「概念の壁を超える」とはどうゆうことか?
展覧会の作品を中心に、ぼくが考えてみたところを書きます。

記事内の会場写真はすべて筆者撮影。
撮影されている作品の著作権はジュリアン・オピーに属します。

イラストとアートの壁を超えたぜ

Blurのこのアルバムジャケット、見たこともある方も多いと思います。
ジュリアン・オピーの名を一躍有名にした代表作の一つ。
メンバーの顔が単純化された表現で描かれています。

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やっぱ良いなぁこれ。いつ見てもカッコいい。
最初これを観た時、ぼくは高校生か大学生だったと思います。

「うぁわー、めちゃくちゃかっこいいなこれ!
この画風で今後100年戦えるやんけ。いいなぁー。」

と打算的なことを思いました。

この表現手法がジュリアン・オピーの最大の特徴にして、最大の発明品ですね。徹底的にシンプルな要素で構成されています。
黒い輪郭線、鮮やかな色彩、ドットの目
一見「これはアート作品なのか?Illustratorでトレースしたイラストみたいだ」と思うんですけど、このイラスト的な技法をアートに持ち込んだわけですね。
マチエール(絵の具の凸凹)も、
にじみも、
かすれも、
筆跡も、影も、一切ない。フラットな表現。

これが非常にポップで斬新だった。
一時期SNSのアイコンをオピー風の肖像画にするの超流行りませんでした?

ピクトグラムと肖像画の壁を超えたぜ

「ピクトグラム」というのは非常口やトイレの場所を示す、簡略化された絵文字のことです。これは街中どこでも観られます。

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で、下のがジュリアンの作品です。

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人物を表した肖像画なのですが、これも徹底的に抽象化、簡略化されています。顔はただの円です。
ほとんどピクトグラムのようですが、体型や歩き方、ファッションなど個人を識別する要素はかろうじて残っている。
図記号表現と肖像画表現の壁を越境しています。
つまるところ、ジュリアン・オピーの作品は、抽象化のはてに、人間らしさとはなにか?という問いかけをしているわけです。
これが、グラフィック的にめちゃくちゃカッコいい表現に落とし込まれてるんですよ。
すごい。

彫刻と絵画の壁を超えたぜ

この時点でとてつもない離れ業をやってのけたジュリアン・オピー。
今度は彫刻と絵画の壁を超えてきました。
下の作品は一見平面作品に見えますが、

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近づいて見ると、板が組み合わさってできています。

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しかもよく見ると、「線」が「地」で「塗り」が「図」なんですよ。
輪郭線のほうが奥まっている。逆転している。
すごいわ。凄すぎる。
ジュリアン・オピーの頭の柔らかさを豆腐だとしたらぼくの頭はダイヤモンドですよ。ダイヤモンドヘッドですよ。

平面のような立体。ガラスの窓に反射してる影も、実際に塗ってあります。

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立体のような平面

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かっちょいいなぁー。この羊家に置きたいわ。
めちゃくちゃオシャレじゃないか。

絵なのか彫刻なのか。カテゴライズ不要。圧倒的作品の力。

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抽象画と具象画の壁を超えたぜ

また壁越えてきましたよジュリアン・オピー。
下の作品は具体的な風景でもあり、抽象的なイメージにも見える。
その境目を攻めてる。

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この作品も、半立体の作品です。
アルミや木の板を切り抜いて塗装して貼り付けている。
ホームセンターで手に入る材料だけでこんなすごい作品が作れられている。
悔しい。ぼくは悔しい。
この、板を切り貼りする技法が、より抽象度を高めています。
ペインティングだとデフォルメした風景画にしかならなかったものが、より複合的な文脈を獲得している。

サイネージディスプレイとアートの壁を超えたぜ

4つの概念の壁を超えてきたジュリアン・オピー。
ここにきてさらに超えてきました。
LEDのドットディスプレイってあるじゃないですか。
サッカースタジアムの看板とかで使われてるもの。

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ジュリアン・オピーが作品にするとこうなります。

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これね、アニメーションで人物が歩くのです。

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カラスは餌をついばんでプリッとフンをしていました。

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鯉が泳ぎます。おしゃれ。かわいい。
めちゃくちゃオシャレじゃないかジュリアン・オピー。
シャレオツ。

残念ながら、2018年の東京の展覧会は会期が終了してしまったのですが(当時はnote始めてなかった)、書籍等で作品を見ることは可能です。
次回日本で個展が開催されるときは、必ず行ったほうが良いです。
絵画と彫刻、抽象と具象か、図と地、平面と立体、コマーシャルとアート、マスとコア、ポップとディープ。
現実と幻想。
ジュリアン・オピーが次に越境する壁が恐ろしいです。

しーゆー

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