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行きつけのパン屋【調布弁天湯@御嶽山駅】(2/2)

 最近は仕事が急に忙しくなり、なかなか温浴施設に行くことができなかった。それまでのルーティンが崩れたためか、疲労が溜まりやすくなり、睡眠の質が下がってしまったような気がする。
 ただ、こういう時こそ他のことよりも優先してサウナに行くべきであることを、僕はこれまでの経験から学んでいた。

 つい先日2022年が始まったばかりだと思っていたのだけれど、いつの間にか1月も終わろうとしている。そんな月末の日曜日、18時半ごろに御嶽山駅で電車を降りた僕は、そこから歩き始めて1〜2分ほどで今日の目的地に到着した。

「前から来てみたかったんだよな」

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 そう、今回訪れたのは大田区にある調布弁天湯だ。大田区内の銭湯にはよく足を運んでいるのだけれど、調布弁天湯は初めての往訪である。それほど気分をリフレッシュしたかったのだ。

 さっそく中に入り、下駄箱に靴を預けて受付の夫人にサウナ利用の旨を伝えると、とても優しい口調で「ロッカーはどこでもいい?」と質問を投げかけてきた。その落ち着いた笑顔に一瞬で心を奪われた僕は少し動揺してしまったものの、「どこでも大丈夫です」と少し照れながら答えるとロッカーキーとサウナ利用客用のリストバンドを差し出され、それらと引き換えに入浴料の480円とサウナ料金の100円の計580円を渡して奥に進んだ。

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(大田浴場連合会:
http://ota1010.com/explore/%E8%AA%BF%E5%B8%83%E5%BC%81%E5%A4%A9%E6%B9%AF/ )

 昔ながらの雰囲気漂う脱衣所は、年季を感じながらも手入れが行き届いているために清潔感もある。そこで準備を済ませた僕は、いよいよ浴室へと足を踏み入れた。

「これぞ銭湯だな」

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(大田浴場連合会:
http://ota1010.com/explore/%E8%AA%BF%E5%B8%83%E5%BC%81%E5%A4%A9%E6%B9%AF/ )

 あざやかな鶴のタイル絵が印象的ではあるものの、全体的には瀟洒な浴場には常連と思われるお客さんばかりが目立ち、地域に根ざした銭湯であることが伝わってくる。
 僕はまず身を清めて風呂で体を温めることにしたのだけれど、バイブラによってぐつぐつと煮えたぎる黒褐色の温泉は43℃と非常に熱く、一瞬入浴を躊躇ってしまった。しかし、この温度が調布弁天湯なのだ。ありがたくいただかなければならない。
 覚悟を決めた僕は、ゆっくりと肩まで浸かり、肺に溜め込んだ息を深く吐き出しながら温度に慣れていった。すると1分も経たないうちに体は火照り始め、ここで満足してはいけないとばかりに立ち上がり、タオルで体を拭きながらサウナ室へと向かい、扉を開けた。

「なかなか渋くて良いじゃないですか」

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(TOKYO SENTO: https://tokyosento.com/review/4386/ )

 ガス遠赤外線ヒーターによって90℃程度に熱せられたコンパクトなサウナ室には、物理的には8人ほどが座れる2段構造のベンチが設けられているのだけれど、ストーブとの距離が近いためか体感温度は非常に高い。ふと見上げると壁にはレトロな12分計が掛けられていて、それもまた良い味を出している。
 僕は空いている上段に腰をかけ、その針の動きを目で追いながら静かに蒸され始めた。つい先ほどまで熱湯風呂に浸かっていたためか、僕の体はすぐに火照り始めてしまい、心臓の鼓動が激しくなっていった。

ーーそろそろ出るか……。

 僕は立ち上がり、サウナ室を出て立ちシャワーに向かった。そう、調布弁天湯には水風呂がないため、冷水はここで浴びなければならないのだ。ただ、どうも一般的なシャワーとは形状が違う。僕は目の前のレバーを持ち、ゆっくりと回転させた。

「おお! これはすごい!」

 なんと、体感18℃ほどの冷水が、僕の全身を360度ぐるりと囲むように吹き出してきたのである。そして僕の身体は瞬時に鎮められ、そのまま浴場の隅へと向かい、柱と壁の隙間にある半個室のような空間にすっぽりと収まった。すると、その壁の上部にある窓から冬の冷気が入り込み、僕の体に癒しを与えたのだった。

ーー最高じゃないか。

 その後も僕はさらに2セットをいただき、満足したところで浴場を出て、フロントのソファに腰をかけてテレビを眺めながら汗を落ち着かせることにした。すると、常連と思われるお客さんが笑顔で「おやすみなさい」と受付の夫人に声を掛け、「お気をつけて」と夫人が優しく応える現場に居合わせた。

ーーまたここに来よう。

 僕はそのなにげないやりとりを眺めながら、そのように思ったのだった。

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(written by ナオト:@bocci_naoto)

YouTube「ボッチトーキョー」
https://www.youtube.com/c/boccitokyo

①僕たちは自費でサウナに伺います ②それでお店の売上が増えます ③noteを通して心を込めてお店を紹介します ④noteを読んだ方がお店に足を運ぶようになります ⑤お店はもっと経済的に潤うようになります ⑥お店のサービスが充実します ⑦お客さんがもっと快適にサウナに通えます