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映画「バベットの晩餐会」を観て

12月16日「バベットの晩餐会」という映画を観た。
英題は「 Babette's Feast」。1987年のデンマーク映画で、ガブリエル・アクセル監督の作品だ。

キャストは、バベット役のステファーヌ・オードランマーチーネ役のビルギッテ・フェダースピールフィリパ役のボディル・キュア、ローレンス・レーヴェンイェルム役のヤール・キューレなどである。

あらすじは、

時代は19世紀、重苦しい雲と海を背景にしたユトランドの片田舎が舞台である。美しい姉妹であるマーチーネとフィリパは、牧師である老父と清貧な暮らしを送っている。姉のマーチーネには地元で謹慎中の若い士官ローレンスが、また妹のフィリパには休暇中の著名なフランス人バリトン歌手アシール・パパンが求愛するが、姉妹は父に仕える道を選び、結婚することなく、清廉な人生を過ごしながら年老いていく。やがて姉妹のもとに、パリ・コミューンによって家族を亡くしてフランスから亡命してきた女性バベットがパパンの紹介でやって来て、家政婦として働くようになる。
姉妹の父である牧師が亡くなって、村人の信仰心が衰えを見せていたため、姉妹は父の生誕100年を記念したささやかな晩餐会を催して村人を招待することを思いつく。そんな折、バベットに1万フランの宝くじが当たったという知らせがフランスから届く。マーチーネとフィリパは、バベットがこのお金でフランスへ戻るであろうことを予期し、寂しく思いながらも、その思いは2人だけの心にとどめおく。その直後、バベットは姉妹に対して、お願いしたいことがあると申し出る。それは、祝いの晩餐会の食事を作らせて欲しい、また、今回だけフランス料理を出したい、費用は自分が出したい、というものだった。実はバベットには、姉妹には話していない秘密があった。バベットはかつて、パリの有名レストランの女性シェフだったのだ。また、牧師の生誕100年を祝う晩餐会のために、宝くじで当たった1万フランをすべて使おうと決めていた。
バベットに晩餐の準備を一任したものの、運び込まれた食材が生きたウミガメやウズラであることを見たマーチーネはショックを受け、夜中にウミガメが火にあぶられている夢で目が覚める。マーチーネは天罰を恐れ、村人たちと話し合って晩餐会では食事を味わうことなく、食事の話も一切しないことを決める。晩餐会にはかつてマーチーネに求愛していたローレンスも参加することになる。
バベットは豪華な料理をてきぱきと用意し、晩餐会が開かれる。料理のあまりの美味しさにローレンスは感動するが、マーチーネをはじめとする他の参加者は食事について言及することなく、不自然な会話を繰り広げる。料理の内容からローレンスは、この料理を作っているのが、かつてパリで人気だったレストラン「カフェ・アングレ」の女性シェフであることに気付く。頑なに食事を味わうことを避けていたマーチーネたちも料理の美味しさに心を解きほぐし、いがみ合っていた者同士も打ち解け合う。こうして晩餐会は無事に終わる。
晩餐会のあと、バベットはマーチーネとフィリパに、自分がかつてレストラン「カフェ・アングレ」のシェフだったことを初めて打ち明ける。パリに戻ってもあなたを忘れないとバベットに言う姉妹に対して、バベットはパリには戻らないと言う。「私は全て失った。お金もありません。」と続けるバベットに姉妹は驚き、お金のことを問いただす。バベットはこの晩餐会で1万フランをすべて使い切っていたことを話す。そしてアシール・パパンがバベットにかけた言葉を引用し、これからもこの地に留まるつもりであることを告げる。

出典:Wikipedia

と、いった内容。

で、観終わっての感想。

若い時に見ても何も感じない映画と思うが・・・

この映画は、1987年の映画である。ということは、今よりも若い時に観ることができた映画ともいえる。
ひとこと言うならば、歳を重ねてから観た方が、この映画の言いたいことが伝わってくる気がするのである。もしボクが、20年前に見たならば、映画の感想が違ってくるだろう。
そして、「退屈な映画」という気持ちで観てしまう可能性もあった。実際には、とても奥の深い映画だと、今は思う。
映画も読書も、同じ人でもいつ読んだかで、感じ方が異なるのかもしれない。

おいしい料理は、人の心を豊かにする

この映画の醍醐味は、フランス料理である。
バベットの宝くじが当たったことにより、フランスから逃げてきた彼女が、その恩返しをするために、フランス料理を村人にふるまう。
その料理づくりの行程や、厨房での姿。手際のよい調理、そして気遣いの姿。彼女がただ物ではないことは、この時点で想像がつく。
そして、それを食べる村人たちの表情。最初は申し合わせをして、料理の話題に触れない様にする彼ら。それでも、おいしいものは美味しいのである。
その表情から、料理は人の心を豊かにすることを気づかせてくれるのである。そして、外に出た村人たちは、いさかいも解決し、笑顔で語り合うのである。

人生の意味は、人により違う

この映画の中の、年老いた姉妹。彼女たちも若い時に、運命を変えそうな出会いをしている。しかし、敬謙なカトリック信者である彼女たちは、父親の支えとなるべく、運命をそちらにゆだねる。
一見、彼女たちはなんて不幸なの?という感想が出てきそうである。でも、人生の意味は、人それぞれ違うのである。
そして、そんな彼女たちが年老いて、再会するのがローレンスであり、直接会うことはないが、バベットを通して関連するのがパパンなのである。
人生とは、なんと奥深いのだろう・・・。そう思えるシーンが歳を重ねてから訪れる。
彼女たちは、人生の意味を感じたに違いない。
そして、バベットがフランスに帰らずに、この村に残ると決めたことも、ある意味「人生」を考えさせられるのだ。

残念な点は、年老いた姉妹が逆に見える(キャスト選択のミス?)

一点だけ。
若い時の姉妹の顔の感じが、姉が妹、妹が姉のように逆に見えてしまう。
映画観賞者からすると、そこが混乱を招く引き金になりかねない。
1987年の映画だから仕方ない部分もあるが、キャストの選定ミスであろう。後半の場面で、この勘違いはストーリー上、映画に集中できない要因になり得る。(実は僕は混乱してしまったので、若い時から年老いる時の画像の場面を見返してしまったくらいである。)
観賞される方は、そこを混乱されない様に、注意していただきたい。

そんなわけで、若い方が観る映画というより、歳を重ねた人の方が味わい深く感じる映画であることは、確かであろう。

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