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映画「ソウォン/願い」を観て

7月9日、「ソウォン/願い」という映画を観た。原題は「소원/Hope」。2013年の韓国映画で、イ・ジュニク監督の作品だ。

キャストは、ドンフン役のソル・ギョング、ミヒ役のオム・ジウォン、ソウォン役のイ・レなどである。

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あらすじは、
ある雨の日、8才の少女ソウォン(イ・レ)は通学途中に酒に酔った男に暴行を受ける。残忍極まりない暴行によってソウォンは心身ともに生涯癒えることのない傷を負い、その惨状を目の当たりにした父(ソル・ギョング)と母(オム・ジウォン)も深い傷を負う。深い絶望に陥った一家だったが、暴行被害者団体やソウォンの同級生らの支えにより徐々に再生への道を歩み出す。と、いったところから始まる内容。

で、観終わっての感想。

「怒り」と「悲しみ」と「優しさ」が交錯する映画

平和な家庭に起こる、悲劇。その日から、全ては一変する。
「怒り」と「悲しみ」は、映像を通してストレートに伝わってくる。
それは、犯人はもちろん、マスコミもまた然りである。
報道による被害者家族への暴力が続く。
そんなズタズタの心を救ってくれたのは、友人たちであった。
特に母親を支えた、ソウォンの友達ヨンソクの母の姿は、怒りや悲しみの中に、心からの優しさや愛を感じた。
人は、支えてくれる人がいるだけで、どんなに心強いことか。
それがまさに、ヨンソクの母親である。

2008年に起きた幼女暴行事件(ナヨン事件)を元に描かれた映画。

調べてみると、この映画のもととなったのは、2008年の実際に起きた事件だとのこと。ナヨン事件という幼女暴行事件が元となっている。
映画だけでも、苦しくなるのに、実話ともなると本当に許せない感情がわいてくる。何でこんな事件が起こるのだろう。ボク自身も、悲しみと怒りの感情がわいてくる。

司法の限界を感じた

そして、何よりも、やるせなく切なくなるのは、犯人が酒に酔っていたために、刑が軽くなるという真実である。
司法の限界を感じる判決。ソウォンの父親が犯人出所後にケリをつけたくなるのも、共感できる。もちろんイケないことであるが、被害者はどうやってその気持ちを晴らすのだろうか。

「世界中の子どもが同じ目にあえばいいのに」・・・やり場のない気持ちが伝わる

だから、母親が映画の中で言った言葉「世界中の子どもが同じ目にあえばいいのに」を、100%否定できない。
それくらいの気持ちであることは、当然のことだろうと思う。
着ぐるみを着た父親の愛も、つい涙してしまう。

何もない日常が、どれだけ「幸せ」なのかを、感じさせてくれる映画だった。

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