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映画「フォルトゥナの瞳」を観て

7月1日、「フォルトゥナの瞳」という映画を観た。2019年日本映画で、三木 孝浩 監督の作品だ。原作は百田 尚樹。

キャストは、木山慎一郎役の神木 隆之介、桐生葵役の有村 架純、遠藤哲也役の時任 三郎、金田大輝役の志尊 淳などである。

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あらすじは、
他人の死が見えてしまうという不思議な力を持ってしまった青年(木山慎一郎)が主人公である。幼少期に飛行機事故で家族を失い、友人も恋人もなく仕事にのみ生きてきた慎一郎。しかし、慎一郎が「死を目前にした人間が透けて見える能力」=「フォルトゥナの瞳」を持っていることに気づいてしまったことから、生活が一変。なぜこのような力を持ってしまったのかを自問自答する苦悩の日々が続く。そんな日々の中で慎一郎は桐生葵という女性に出会い、互いに惹かれあった2人は幸せな日々を過ごす。慎一郎の孤独な人生に彩りを与えてくれた葵という存在。しかし、葵の身体が突然透け始めてしまう。
と、いったところから始まる内容。

で、観終わっての感想。

こんな能力、本人はいらないだろうな・・・

人は、このような超越的能力に対し、そんな能力があったらいいのに…なんて思ってしまいそうである。しかし、冷静に考えてみたら、この能力に関しては、いらないし、怖くなることだろう。
そんな「フォルトゥナの瞳」。死に近い体験をしたことで、主人公に備わってしまった。トラウマになってしまうのではないかと思う。

主人公の木山慎一郎は、なんていい人なんだ。

この映画の主人公の「木山慎一郎」。本当に、いい人過ぎて可哀そうになってしまう。でも、だから彼にこのような能力が備わってしまったのではないかと思う。いい人は大概、人に対して優しい。
優しいのは、人の痛みがわかるからだと思うのだ。

同じ飛行機事故に遭い、助け、助けられた関係

主人公と、携帯電話ショップで働いていた桐生葵。
この2人は、幼少期に飛行機事故に遭っていた。
そして、慎一郎の記憶の中には、少女が助けを求める際に身体が透けて、そのまま飛行機の翼がその少女を押しつぶしてしまうものが入っている。
一方、葵の記憶の中には、慎一郎が飛行機の翼の下にいた自分を助けてくれた記憶が残っている。
大人になった慎一郎。仕事中の葵の手が透明であるのを見て、何とか助けようとする。一方、葵も実は「フォルトゥナの瞳」を持っているのだ。
葵が見た慎一郎の手も透けていたのだった。

自分の命を落としても、助けたいと思う使命感

保育園の園児が透明になりかかっていた。電車の中の人が同じように透けてきていた。そして、葵も透けてきている。それを見て、慎一郎は共通点が電車に乗る人ということに気づく。葵も園児も、金曜日の朝のある時間帯に電車に乗る。つまり、電車の事故は人々が死んでしまうくらい大きな事故になると考える。そして、慎一郎は決断する。事故を起こす手前で、電車を止めてしまおうということだった。
慎一郎は、運命を変えてしまうことで、自らの命も奪われる運命となった。
それにしても、なんという使命感。人を思う自愛の心。
自分の命を落としても、人を守りたいという気持ちが叶い、事故になる一歩手前で食い止められた。
慎一郎は、線路上で電車を停め事故を防いだ。そしてその代償として、人々を助けた代わりに息絶えていた。

もし天国というものが存在するなら、間違いなく慎一郎は導かれることだろう。主人公が、あまりにも無残な人生で過ぎて可哀そうになる。
彼の人生の中で、葵の存在は、モノクロの人生に色を着けてくれた存在であろう。
その葵を最後に助けられたこと。
もしかしたら、彼に後悔などないかもしれないと思った。

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