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【漢詩解説】②杜甫:韦讽录事宅观曹将军马图〈書き下し文・日本語訳〉*白文音声あり*

前回の続きから解説するため
こちらをお読みいただいてからご覧ください。


杜甫:韋諷録事の宅にて、曹将軍の画馬の図を観る

韦讽录事宅曹将马图
杜甫
国初已来画鞍马,神妙独数江都王。
将军得名三十载,人间又见真乘黄。
曾貌先帝照夜白,龙池十日飞霹雳。
内府殷红玛瑙盘,婕妤传诏才人索。
盘赐拜舞轻纨细绮相追
戚权门得笔迹,始屏障生光
昔日太宗拳毛騧,近
郭家子花。
今之新
有二,复令者久嗟。
此皆骑战一敌万,缟素漠漠开风沙。
其余七匹亦殊绝,迥若寒空动烟雪。
霜蹄蹴踏长楸间,马官厮养森成列。
可怜九马争神骏,顾视清高气深稳。
借问苦心爱者谁,后有韦讽前支遁。
忆昔巡幸新丰宫,翠华拂天来向东。
腾骧磊落三万匹,皆与此图筋骨同。
自从献宝朝河宗,无复射蛟江水中。
君不见金粟堆前松柏里,龙媒去尽鸟呼风。

※今回は、前回の続きとして
盘赐拜舞」から「复令者久
までを解説します。
残りは明日以降投稿予定です。

【用語説明】

拜舞…官位や録賜ったときにおこなう、舞うような感謝の拝礼。

轻纨细绮…細い糸で織った上等の絹。画家に対する謝礼であり、それが「相追うて飛ぶ」とは、注文・謝礼が殺到する様子を描写したもの。

拳毛騧…唐の太宗が乗る馬。劉黒闥りゅうこくたつを平らげたときに乗っていた。「黄馬黒喙」と記されていることから、栗毛で口のまわりが黒かったのだろう。

郭家子花郭子儀かくしぎの家の獅子花という馬。この馬は立て髪が虬竜きゅうりょうのごとく、九つの花文があったので九花虬とも呼ばれる。

虬竜…伝説上の生き物。2本の角がある竜。

今之新…今、目の当たりにしている曹将軍の描いた絵。

…従来の馬の画に加えて・また。


【解説】

(前回の続き)
この詩と次の「丹青引」は同じころの作品。
しかし両者がさすものは同じではなく、前者は曹将軍の画馬を見て、唐朝の盛衰、世の変遷に感じ入ります。

後者は時世の転変とともに、今、蜀の地に流落りゅうらくする曹覇の悲運に同情し、併せて同じくこの地を流浪する自分の失意の境遇を嘆息しました。

(解説は次回に続きます)

【日本語訳】

将軍賜って拝舞して帰る
競って御礼のねり絹あや絹もてと殺到し
画を乞う者はひっきりなしに

これより貴族外戚権門たちが
皆将軍の筆を得て
初めて屏風に光輝を生じた

今ここに見る将軍の
新たに画いた馬の絵に
古くは太宗の拳毛騧けんもうか
近くは郭家の獅子花ししか

ともに画いてここにあり
まなこある者これを見て
常に嗟嘆さたんせぬ者はいない


【書き下し文】

盤 将軍に賜わりて拝舞して帰る、
軽紈けいがん細綺さいきあい追うて飛ぶ。

貴戚きせき権門けんもん筆跡を得て、
始めておぼゆ 屏障へいしょうの光輝を生ずるを。

昔日せきじつ 太宗の拳毛騧、
近時きんじ 郭家かくかの獅子花。

今の新図しんず二馬有り、
また識者をして久しく嘆嗟たんさせしむ。


漢詩解説は以上になります。
曹覇将軍の売れっ子ぶりが伝わる内容でした。
この華やかな流れから、
詩がどのような内容に変化していくのか楽しみです。

続きは12/29投稿予定です。

曹覇将軍に関する詩は
別の記事でも紹介しています。
興味のある方はぜひご覧ください。

この記事が漢詩や中国語に興味のある方に届いていれば幸いです。

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