【漢詩解説】②杜甫:韦讽录事宅观曹将军马图〈書き下し文・日本語訳〉*白文音声あり*
※ 前回の続きから解説するため、
こちらをお読みいただいてからご覧ください。
杜甫:韋諷録事の宅にて、曹将軍の画馬の図を観る
※今回は、前回の続きとして
「盘赐将军拜舞归」から「复令识者久叹嗟」
までを解説します。
残りは明日以降投稿予定です。
【用語説明】
拜舞…官位や録賜ったときにおこなう、舞うような感謝の拝礼。
轻纨・细绮…細い糸で織った上等の絹。画家に対する謝礼であり、それが「相追うて飛ぶ」とは、注文・謝礼が殺到する様子を描写したもの。
拳毛騧…唐の太宗が乗る馬。劉黒闥を平らげたときに乗っていた。「黄馬黒喙」と記されていることから、栗毛で口のまわりが黒かったのだろう。
郭家狮子花…郭子儀の家の獅子花という馬。この馬は立て髪が虬竜のごとく、九つの花文があったので九花虬とも呼ばれる。
今之新图…今、目の当たりにしている曹将軍の描いた絵。
复…従来の馬の画に加えて・また。
【解説】
(前回の続き)
この詩と次の「丹青引」は同じころの作品。
しかし両者がさすものは同じではなく、前者は曹将軍の画馬を見て、唐朝の盛衰、世の変遷に感じ入ります。
後者は時世の転変とともに、今、蜀の地に流落する曹覇の悲運に同情し、併せて同じくこの地を流浪する自分の失意の境遇を嘆息しました。
(解説は次回に続きます)
【日本語訳】
将軍賜って拝舞して帰る
競って御礼のねり絹あや絹もてと殺到し
画を乞う者はひっきりなしに
これより貴族外戚権門たちが
皆将軍の筆を得て
初めて屏風に光輝を生じた
今ここに見る将軍の
新たに画いた馬の絵に
古くは太宗の拳毛騧
近くは郭家の獅子花
ともに画いてここにあり
眼ある者これを見て
常に嗟嘆せぬ者はいない
【書き下し文】
盤 将軍に賜わりて拝舞して帰る、
軽紈細綺相追うて飛ぶ。
貴戚権門筆跡を得て、
始めて覚ゆ 屏障の光輝を生ずるを。
昔日 太宗の拳毛騧、
近時 郭家の獅子花。
今の新図二馬有り、
復識者をして久しく嘆嗟せしむ。
漢詩解説は以上になります。
曹覇将軍の売れっ子ぶりが伝わる内容でした。
この華やかな流れから、
詩がどのような内容に変化していくのか楽しみです。
続きは12/29投稿予定です。
曹覇将軍に関する詩は
別の記事でも紹介しています。
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