- 運営しているクリエイター
#デンマーク
映像のデコパージュに誘惑される| 『エーレンガート:誘惑の極意』
先月、第96回アカデミー賞(2024年)の受賞結果が発表され、日本映画では山崎貴監督の『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞、宮崎駿監督の『君たちはどう生きるか』が長編アニメーション賞を受賞しました。
アカデミー賞というとアメリカの賞が有名ですが、デンマークにもロバート賞(Robert Prisen)と呼ばれるアカデミー賞があります。今年発表されたロバート賞(2024年)の作品賞には、ニコライ・アーセ
「ケア労働」へのまなざし 『あるじ』
夏の暑さもようやく落ち着いてきた頃、フィンランドの画家ヘレン・シャルフベックを描いたアンティ・ヨキネン監督の『魂のまなざし』を観ました。画家としての自分を生きようとするシャルフベックの強いまなざしと、スクリーンにときおり映る絵画のような場面が心地よいリズムを作り出していました。年代としては1915-1923年を扱っており、これはフィンランドの女性参政権が成立した1906年から少し経った頃です。映
もっとみる『ライダーズ・オブ・ジャスティス』にみる弱い男たちの連帯
強くなるとは、何か強い力を得ることではなく、自分の弱さを認めること。
今年(2022年)1月、『ライダーズ・オブ・ジャスティス』が公開されました。デンマークで最も注目されている脚本家の一人である、イェンセン監督の最新作です。この映画は、列車事故で妻を失った軍人マークス(マッツ・ミケルセン)の復讐を中心とした人間ドラマにユーモアのスパイスが加えられており、予測不可能な展開で観客を驚かせる内容