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ビルコムが挑む広報・PR業界3つの「不」と目指す未来/代表 太田滋インタビュー

こんにちは。コーポレートコミュニケーション局の川島です。
今回は、ビルコムという会社についてもっと深堀りしてみよう!ということで、ビルコムの創業者であり、代表取締役兼CEO 太田 滋にインタビューしました。

ビルコムが現在の「統合型PR」事業を始めたきっかけ、なぜエージェンシー事業からSaaS事業へと発展していったのか、自社のプロダクトである「PR Analyzer」の開発エピソードなど、会社の歴史と共に、現在のPR Tech®カンパニーに至った経緯を聞きました。

ビルコム創業までの背景を教えてください

ビルコム創業以前は、PCソフトやIoT機器を開発・販売する、ソースネクストの広報宣伝部に所属していました。そこで業務している中で、マーケティングコミュニケーション業界の縦割り構造に、大きな疑問を感じたことが起業のきっかけです。

広報宣伝担当者は、社外へコミュニケーションをするにあたって様々な手法を用いますよね。インターネット広告を出稿する際は専業の広告代理店、テレビCMであればマスメディアに強い広告代理店、PRはPR会社、販売促進であればSP会社、イベントであればイベント制作会社。それぞれの領域に専門会社があり、何をしたいかという目的によって、依頼する企業が異なります。そして、手段が増えれば増えるほど、それに伴い関連する企業も増えていきます。

事業会社としては、商品の売り上げを上げたい、ブランドの認知や好意度を上げたいなど、マーケティングコミュニケーションの目的があります。本来はその目的を達成するために、手段となる広告・PR・販促を統合するべきだと思っていました。しかし、当時は何社もある専業の企業に対し、毎回商品概要やコミュニケーションの目的を説明しなければならず、非効率であると感じていました。これは、自社のみならず業界全体の矛盾や課題ではないか、と思ったんです。

広報・PR業界における3つの「不」

主に、広報・PR業界における矛盾や課題として、3つの「不」があると考えています。それは、不透明・不確実・非効率の3つです。(以下図)

広報・PR業界における3つの「不」

PR業界は他業界に比べてテクノロジーから遠く、経験やセンスに頼っている部分が多いと感じます。データを収集し、仮説を実験的に検証して活かす、エンジニアリングの技術を使って分析する、といった手法よりも、広報担当者の中に蓄積された過去の経験やナレッジによって成り立っていることが多いです。PR活動の結果をデータとして可視化できれば、不透明であった広報の価値や効果を正しく判断、評価することができます。営業やマーケティングで実践されているように、広報担当者においてもデータドリブンな戦略立案が必要だと思います。

こうした背景や思いから、社会的矛盾を解決し、新しいコミュニケーションを創る会社「ビルコム」を2003年に創業しました。社名の由来が「ビルディングコミュニケーションズ」とあるように、創業時から現在に至るまで「PRを起点とした統合型コミュニケーションを提供すること」を一貫して行っています。

SaaS事業への展開は、何かきっかけがあったのでしょうか?

PR Analyzer誕生までの道のり
創業当初から、「PR Analyzer」の前身となるシステムはありましたが、2015年から本格的に事業開発を始め、約2年の開発期間を経て、2016年12月にベータ版をリリースしました。最初は、信頼する開発パートナーに相談しました。事業の構想をシステムで具現化していくためには、どれぐらいの予算と体制が必要なのか。自分の構想を共有し、フェーズ別にプランを描き、少しずつ形にしてきた経緯があります。

多様なデータを1つのソフトウェアに取り込んでいく作業は、非常に大変でしたね。現在、TVの視聴データ、メディアデータなど、多様なデータソースを用いています。それぞれ別会社からデータソースを連携させていただいていますし、新聞や雑誌の記事情報は手動で入力するプロセスがあるなど、オペレーション構築も必要でした。そんな困難がありながらも、広報の実務経験やエージェンシー事業でのナレッジを通じて、業界課題が明確に見えていたからこそ、PR Analyzerを開発できたと言えます。

エージェンシーとSaaSは補完関係
エージェンシー事業はお客様が主役であり、我々はお手伝いをする黒子のような立場ですが、SaaS事業は自分たちが主体となり、いちメーカーのような形でプロダクトを作ることになります。当然、ビジネスモデル、事業に向き合う考え方、組織体制も今までと異なってくるため、企業としては大きな変革でした。エージェンシーとSaaSは補完関係にあります。コミュニケーション支援に加え、データ分析ができるプロダクトもご導入いただき、きちんと効果が見えるようにする。これらを融合させていくことで、PR Techカンパニーとして統合型PRソリューションの顧客提供価値を高めていくことができると考えています。

PR Techカンパニーとしての社会的役割はどのようなものでしょうか?

PR Techを駆使しながら、コミュニケーションで共感を創造していくことだと考えています。これまでマーケティングコミュニケーションは、広告、販促、PRと3つに大別されていましたが、SNS時代のコミュニケーションでは、PRが中心になります。情報を受信する側の立場に立ち、自分がその情報を受けた際にどう感じるかを考え、情報発信する。そして、PRをデータで見えるようにし、テクノロジーで多角的な分析を可能にする。その結果、社会に役立ち、多くの方から共感を得られる。PR Techカンパニーとして、このような社会的役割を担っていきたいですね。

また、PRとは事実に基づいたメッセージを発信し、共感によって情報が波及するコミュニケーションです。どんな企業、商品、ニュースであっても、ポジティブな意見とネガティブな意見が必ず発生します。そのため、PRとして情報発信する際は、常にコントラバーシャル(議論の余地のある、論争を呼ぶ)な状態を想定しておくことが重要です。世の中には様々な意見があることを踏まえた上で、色々な意見を発信させる余地を残しておく。これはPRにおいて特に重要だと考えています。もちろん、ポジティブな意見が多い方がいいですが、議論の余地を残した状態で、ポジティブな方向にナビゲートしていく、これがPRパーソンの在り方ではないでしょうか。


「共感あふれる未来をつくる」
ミッションを改訂した理由を教えてください

負の共鳴や分断の連鎖といった社会課題に対し、私たちができるアプローチで解決したいと思い、2022年1月より「共感あふれる未来をつくる」というミッションに改訂しました。

昨今、世の中の情勢もあり、魅力が伝わりきらず、共感されないまま終わりを迎えている場面を多く感じています。例えば、半世紀以上続いていた伝統的なスポーツ大会の終了、多くの方々に愛され続けてきた文化施設や商業施設の閉鎖、老齢化したブランドの撤退などです。

一方、共感されないだけでなく、負の感情が表出することも見受けられます。企業や地方自治体の広告がSNSで炎上して中止になる、ふとしたときに垣間見られるハラスメント。情報発信者側と世の中の認識の間に、大きなギャップが生まれやすくなっています。

約20年間、PR業界にいて痛感することは、PRとは「想いを伝えて、共感を生み出す仕事である」ということです。商品やサービスに込められた想い、会社のビジョン、地球や社会に向き合う姿勢。そして、すべての原動力である人間の情熱。お客様やパートナーと共に価値を創り、想いを伝えることで未知なる感動を生み出したい、そんな想いを込めて改訂に至りました。


今後目指すべきビルコムの姿はどのようなものでしょうか?

引き続き、PRの進化に貢献したいと考えています。今後は、データとテクノロジーという軸で、PRの戦略立案から効果測定までを全て一元化し、分析&可視化できるツールを開発、提供していきたいと考えています。自社に対してどの記者がどの程度興味を持っているのか、どの記者がプレスリリースを読んでくれているのかなど、今まで可視化が難しかった部分を、データとテクノロジーで見えるようにする。これは、広報業務を進化させることだと考えています。一元化が実現すれば、PR自体の在り方が、大きく変革されるのではないでしょうか。

PR会社にいることの醍醐味
PRは偶発的だからこその面白さ、やりがいがあります。情報発信をした際、どのように取り上げられるか、第三者からどのように情報波及するかわからない。だからこそ、思い描いたとおりに情報が伝わり、社会が動き、お客様の目的を達成できた時には、この上ない喜びを感じます。PR会社の社員は、自社に所属しながら、複数のお客様の統合型PRを担います。お客様、メディア、社会、自社という4つの視点を持ちながら、お客様と一緒にPRの在り方を創っていく。これは一つの事業会社の広報では味わえない醍醐味だと思います。社会に与えるインパクトも大きく、多岐に渡るビッグプロジェクトに携われる機会も多いので、プロフェッショナルとして成長できる環境だと思います。

強い組織力を目指すための方程式
ビルコムでは、5つのVALUEを掲げています。中でも「一枚岩の最強組織」は、社内で浸透しているVALUEだと感じています。

1×1は1ですが、1.1×1.1=1.21になりますよね。一人の魅力や可能性を、組織やチームの力で1から1.1に引き出す。そしてメンバー同士が協業することで、1.1×1.1=1.21になることが可能です。逆に、一人が1以下の0.9になってしまうと、0.9×0.9=0.81。つまり、一人で行うよりもチームパフォーマンスは低下してしまいます。

全ての源はチームでしかできない仕事。これが大きな価値を創っていくことであり、会社で働くことの意味だと考えています。1の魅力を組織力で1.1に高め、さらに協業することで1.21になる。1以上の強い個人と組織を目指し、それを体現できる企業でありたいですね。

ビルコムのVALUE

これからPR業界を目指す方、ビルコムへジョインする方へのメッセージをお願いします

昨今、広報のDX化、多様なSNSの台頭などPR業界は大きな変化を迎えています。ビルコムは創業以来、新しいPRの在り方を創造してきました。広報・PR効果分析ツールPR Analyzer、50年以上続く月刊メディア・データ、メディアリレーション管理システムMedia Relations Managementなど、自社開発した複数のプロダクトを保有しています。

これからもデータとテクノロジーによってPR業務のプロセスと成果を可視化し、さらに進化したPRの形を一緒に創っていきましょう。


ビルコムでは、共に新たなPRを築いていける仲間を募集しています。

詳しくは採用HPをご覧ください。

*本文中に記載されている会社名、製品名は、当社の登録商標または商標です。


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