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(D66) 中国はAIに適している社会なのか?-2 (2020.1.12) by 野口悠紀雄 より抜粋加筆しました。

⑷ ビッグデータをどう扱ったらよいのか?

ビッグデータは、比較的最近登場したものなので、
その取り扱いについての社会的なルールが確立されていません。

GAFAの規制や、プロファイリング禁止等の考えが出されていますが、いずれも実効性のあるものになるとは考えられません。

これまでとは違うルールが必要になリます。
それは社会の基本的な仕組みの変更を要求する問題なのかもしれません。


⑸ 中国はAIに適している社会なのか?

ビックデータについては、中国が他の社会より集めやすい。

それは、市場経済の基本的インフラが整備されていなかったために、メリットが大きいことから、人々が受け入れているということによリます。

以下の理由によるのかもしれません。
①中国ではプロファイリングのプラス側面が強く意識される
②政府の力が強い
③人々がプライバシーの保護をあまり重要と考えていない

もしそうだとすると、AIの進歩のために有利なのは、
自由主義的な経済ではなく、中国のような社会なのかもしれません。


⑹ 民主主義と市場経済の優位性は揺らぐのか?

これまで多くの人は、
中国も豊かになれば政治的にも自由化するだろうと考えていたが、一向に自由化の動きが生じません。

SNSが普及すれば、
政府への批判もできるようになるから、民主化ができると期待していたが、そうにもなっていません。

これまでの中国国民がプライバシーに関心を持たなかったとしても、
それは中国の特殊性なのではなく、豊かになってくれば自由主義諸国と同じようになっていくという考えもあリます。

しかし、そうした動きが生じているようにも見えません。


民主主義社会、市場経済の方が望ましいという基本信念が、今揺らいでいるのかもしれません。

AIやビックデータという情報関連の新しい技術に関して、
中国の社会構造が有利に働くのではないのか。


以下の新しい現実が始まりました。
「次世代AIは、個人情報に配慮することなく、
AIを育成できる中国企業(テンセント、バイドゥ、アリババ、ファーウェイなど)から出現する」


これは、中国社会を管理する顔面認証技術がその発端になっています。

世の中のビッグデータの中で、もっともデータ量が多く、かつその活用の効果が大きいものは、
街中にある監視カメラの画像情報データです。

もし、この画像ビッグデータが自由に活用できる環境で巨大AIを育成することができれば、
そのAIは個人の行動をかなり高いレベルで予測できるように育ちます。

今、中国ではAIによる監視社会ができあがると予測されています。


上記のようなさまざまな個人情報が、
中国国営企業や、中国民間企業が使うことができるとしたら、どうなるでしょう?

2020年代のAI覇権は、
米国のGAFAから中国のIT企業へと移行する、という説があります。

私は上海在住11年目。 2020年2月、在中国日系企業を対象とする、 「⺟国語で現場情報を引き出す、社内コミュニケーションツール」 を無料リリースしました。 コラボしたい方、ぜひお待ちしております。 bigluck777r7@yahoo.co.jp