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エッセイ

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日々感じたことや面白かったことなどを書いていきます。 (駄)多発注意報が 常に発令されています。くだらなくても怒らないでくださいね。
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#翻訳家

エッセイその105.翻訳の沼(11)いつかは?

エッセイその105.翻訳の沼(11)いつかは?

いろいろ書いておいてあれですが、自分が翻訳家になるのは無理だと思う理由があります。

一つは、
「翻訳家になるためには、対象言語を、母語を読むのと同じスピードで、
辞書なしで、楽しいと思って読める能力があること」
というのがあります。

私なら、英語で書かれた本を、日本語で読むのと同じように読めないといけないということです。

残念ですが、それは私には無理でしたし、今も無理です。

もう一つは、需

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エッセイその102.翻訳の沼(9)どういう口調で喋らせるか③クララとお日さま

エッセイその102.翻訳の沼(9)どういう口調で喋らせるか③クララとお日さま

しばらくの間 夫と、カズオ・イシグロの新作、
「クララとお日さま」を毎晩同時に読んでいました。
1日に何ページと決めて読むことにしたのでした。

最後の日、私が最後まで先に読み終えまして、
夫が読み終えるのを待ちながら、末尾の「解説」を読んでいました。

そこでかなり驚くことがありました。
大袈裟ですが、ビックリハウスで ぐるっと体が反転させられた
ぐらいの感じです。

このあとはネタバレですので

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エッセイその95.翻訳の沼(8)どういう口調で喋らせるか②

エッセイその95.翻訳の沼(8)どういう口調で喋らせるか②

昔は 洋画というものは、平日夜9時から2時間弱の枠で、
吹き替えで観るのを楽しみにしていたものでした。

野沢那智さんはアラン・ドロンと決まっていて、
同様に、広川太一郎さんはトニー・カーチスと、
超当たり役だったスノーク(ノンノンのお兄さんね)。

武藤礼子さんはエリザベス・テーラー、
向井真理子さんはマリリン・モンロー、
納谷悟郎さんはチャールトン・ヘストン、
大塚周雄さんはリチャード・ウィド

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エッセイその90. 翻訳の沼(4)例えば[ナイーブ]という言葉

エッセイその90. 翻訳の沼(4)例えば[ナイーブ]という言葉

私と、翻訳の師匠A氏(ネイティブ・英語話者)が、話すたびに

全くその通りですね! 

と 手を取り合わんばかりに意見が一致するのは、これです。

・翻訳家というものは、対象とする言語を、
流暢でなくていいから喋れるレベルであることが望ましい。

・できるなら、それを使って生活しているのがよい。
(=しゃべったり、見たり聞いたりしていないと、
見えてこないことが多くある。
多くは、辞書に載ってない

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エッセイその89.翻訳の沼(3)昔の翻訳と食べ物③

エッセイその89.翻訳の沼(3)昔の翻訳と食べ物③

私は何故か、翻訳家の友人が多いのですが、最近、また一人翻訳家の人と知り合いました。
息子のような年齢の ネイティブ・イングリッシュ話者です。

アニメやコミック、小説やゲームの趣味が合い、話が尽きません。

その彼より、

「よかったらtamadocaさんの訳したものを一緒に読んでみませんか」

との提案がありました。

一緒に読んで・・と言ってくださいましたが、彼の方が全然語学力がありますので、

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エッセイその87. 翻訳の沼(1)昔の翻訳と食べ物①

エッセイその87. 翻訳の沼(1)昔の翻訳と食べ物①

私は日本語教師になりたいと思うまで、結構長い間、翻訳家を目指していました。
いや、今でもなりたいですよ。
夢として、死ぬまで抱えていくことでしょう。
仕事としては頼まれればやっていますし、コンクールにも応募してちっちゃい賞をいただいたり、ネットマガジンでもデビューしました。(ちょっとやっただけで尻すぼみ・・)

私が翻訳家を志したのは、昔のこととて情報もありませんし、本当に何も知りませんでした。高

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