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ニューヨーク金融市場

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#為替

7月の相場のカタリストとコンセンサス

7月の相場のカタリストとコンセンサス

S&P500指数はこの四半期で24%も上昇し、コロナショックで失った大半の時価を僅か3ヶ月で取り戻した。
まだまだ様々なリスクが存在する中で、米国の市場関係者はどのような材料を次のカタリストとして考えているのだろうか。

7月の相場のカタリストとコンセンサスについて纏めた。

追加財政刺激策7月31日に特別失業手当の期限が切れる為、その前に次の財政刺激策が議会で纏まるとマーケットは考えている。

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先週の注目チャートを解説。EUR/JPY, VIX, 米国コロナ第二波など

先週の注目チャートを解説。EUR/JPY, VIX, 米国コロナ第二波など

以下は私が注目した先週のチャートです。見解は個人的なものになります。

<為替>EUR/JPYとSoftbank

先週、為替で一番気になったのはEUR/JPYの動き。
正確にはその前の週に鬼門の125抜けを失敗して反転していたので気になっていました。

特に今週、注目したのは、ソフトバンクのTmobile売却に関する報道が多くなってきたからです。

だいぶ前からソフトバンクが保有するTmobil

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米国のコロナ第二波はどこで起きているのか?

米国のコロナ第二波はどこで起きているのか?

米国ではコロナ第二波を警戒する報道が目立っています。
正確には先週くらいから、ちらほら記事を目にするようになりましたが、本日はこれを手がかりに株式市場も調整地合いです。

では、どの州で、どのような状況になっているのか?
また、投資家は今後、何に注目していけば良いのかを纏めました。

どの州で第二波が来ているのか?まず、米国全体の新規感染者は次の通りです。

全体としては新規感染者は減少傾向にあり

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早わかり!FOMCの結果と市場の反応

早わかり!FOMCの結果と市場の反応

FOMCの結果と市場の反応についてポイントを纏めています。

ポイント① 経済・政策金利の見通し(SEP)についてFOMCは3ヶ月に一度、経済と政策金利の見通しを公表しています。
しかし、3月はコロナウイルスの影響があまりにも不透明だった為、発表を見送りました。

なので、今回は昨年12月以来、半年ぶりの公表になります。

まず、経済見通しは以下のようになっています。

FEDが考える米国経済の『

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早わかり!FOMCのポイントは?

早わかり!FOMCのポイントは?

今回のFOMCのポイントについて纏めています(日本時間6月11日午前3時)。

ポイント① YCC(イールドカーブコントロール)の議論について今回のFOMCで一番注目されているのはYCCです。
YCCは日銀が2016年に導入した金融緩和の枠組みの一つで、国債金利の誘導水準を定め、買い入れを行う金融政策です。
ちなみに日銀は10年国債金利を概ねゼロ%に定めています。

注目されているのは、YCCが今

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なぜ株価は上昇を続けるのか?1968年を振り返る。

なぜ株価は上昇を続けるのか?1968年を振り返る。

興味深かったので、CNBCの記事を意訳しています。(私の意見ではありませんが、参考になればと思い投稿させていただきました。)

なぜ株価は上昇を続けるのか?1968年を振り返る。
世界的なパンデミック、人種間の戦い、政治的な混乱。
そして、カオスの中で急上昇する株価。

これはまさに現在の相場を話しているようだが、実は1968年のデジャブでもある。

現在の相場は、落ち込む小売、雇用市場、企業収益

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5月のカタリスト、米中・財政パッケージ・経済再開の最新動向について

5月のカタリスト、米中・財政パッケージ・経済再開の最新動向について

今月の頭に「マクロファンドが考える5月のカタリスト、米中・財政パッケージ・経済再開について」という記事を書いた。

5月も残り僅かだが、概ねこの3つがカタリストとなり、マーケットを動かしている。

今日はこれら3つのカタリストの最新動向を整理したい。

エスカレートする米中関係
まず、今年の米中関係を理解する上で、欠かせないのが「中国側から見た米国大統領選」である。

昨年5月、中国が作り上げてき

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投資家もマイナス金利には懐疑的?厳しい中国制裁案で米株は反落。

投資家もマイナス金利には懐疑的?厳しい中国制裁案で米株は反落。

投資家もFED関係者もマイナス金利に懐疑的
5月11日時点のJP債券投資家サーベイは久しぶりに動きがあり、ネットショートが拡大。
先週、FF金利先物がドルのマイナス金利を織り込む形で、米金利は低下したが、多くの投資家が"それは無いだろう"と懐疑的であることを示している。

先週、申し上げたが今週から国債入札や起債など、債券の供給が多く、需給的には金利が上昇しやすい。

そのような中、FF金先がテク

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米国もマイナス金利に突入するのか?

米国もマイナス金利に突入するのか?

米国の将来の政策金利を予想するFF金利先物(Federal Funds Futures)が初めてマイナス金利を織り込む水準に突入した。

上のグラフはFF金利先物を金利に直して、年限別に並べたものである。
2020年12月から0を下回っており、2021年5月は−0.03%の織り込みとなっている。現在のFederal Funds Effective Rate(やや雑な言い方だが政策金利と捉えて頂いて

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トルコリラのスワップポイントはなぜ下落しているのか。外貨準備が底を尽きつつある?

トルコリラのスワップポイントはなぜ下落しているのか。外貨準備が底を尽きつつある?

外貨準備が尽きつつある?
3月のグローバルなリスクオフの中、トルコでは中央銀行が通貨安防衛のため外貨売り介入を行ってきた。

元々、トルコの外貨準備は他の新興国と比べて少なかったが、いよいよトルコ中銀が保有する外貨準備が底を尽きつつあるという観測が広がっている。

フィナンシャルタイムズによるとトルコ中銀が保有する外貨準備(Net foreign assets)が大幅に減少。その中からスワップを除

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原油ETFがまた招いた混乱。米国ではトランプの支持低下が目立つ

原油ETFがまた招いた混乱。米国ではトランプの支持低下が目立つ

原油安の原因は"また"ETFのUSOだった
本日も原油が大幅安。初めは先行きの需要懸念(=景気減速)が高まっているのかと思ったが、その後、このブログでも何度か取り上げている米大手原油ETFのUSOが再び限月交代を行なっているということが判明した。

今回の報告書によると、本日から4/30までに先物の限月ロールを行う模様。
元々は直近限月(2020年6月)を100%保有する形式のETFであったが、そ

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"Sell in May"アノマリーを検証してみる

"Sell in May"アノマリーを検証してみる

"Sell in May"という言葉は多くの人が聞いたことがあると思う。
しかし、多くの人が"Sell in May"には続きがあることを知らないと思う(私もつい最近まで知らなかった)。

この言葉には続きがあり、"Sell in May and go away, and come on back on St. Leger's Day."と続くらしい。

これは「ロンドンの暑い夏が来る前に株を売っ

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巨大な月末リバランスが控えている米株

巨大な月末リバランスが控えている米株

※マーケット忙しくてNY市場のアップデートが最近遅めですm(_ _)m

始まった巨大月末リバランス
今日にも財政案が米議会で纏まるとの期待も高いが、一番話題になっているのは月末のリバランスフロー。
モルスタは$160bln, GSは$214bln, JPモルガンは$850blnの資金が株式へ流入すると予想している。これは年金ファンド、リスクパリティ戦略、CTA、ボラティリティターゲット戦略ファン

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急増するドル需要に警鐘

急増するドル需要に警鐘

利下げ後もドルの資金需要が増している
以下はNY連銀が行なっている10日物資金供給オペの結果である。

緑のSubmittedという欄がFEDがオファーしている金額だが、本日は$20blnのオファーに対して$72.55blnも札が集まっている。
3月に入ってから2回オペが行われているが、いずれも3.5倍超の倍率で2月から急激に跳ね上がっている。

緊急利下げ後もドルの資金需要が高いというのは懸念す

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