マガジンのカバー画像

掌編小説、随筆

53
掌編小説と随筆をまとめています。
運営しているクリエイター

#うつ病

徒然を連れて 3

 神出鬼没のライターと化した三葉治です。

 今日は、仕事場の向日葵の水やりに行った時に、後脚を片方無くした茶色のバッタに出会いました。私は脚を無くした昆虫を見る度に「お前はいま何を思って生きているのか」と問うことがあります。脚が無くなって悲しいのか、痛いのか、それともなんとも思わず今日のご飯のことを考えているのかと。でも虫は当たり前のように答えません。私の存在を感じて警戒しながらじっとしているだ

もっとみる
隠される病

隠される病

 言えない気持ちを温かい飲み物に溶かし、喉の奥、腹の底へと収める。珈琲のような黒色をして、しかし珈琲とは違うその飲み物。飲まざるをえない。一思いに、一気に。温かさだけが頼りだ。飲み終えれば気が楽になるか?飲み干した後はこの世を愛する気持ちがカップの底に残される。それは黒色であった。

 電子の大海に飼い慣らされようとする世で、心だけが放し飼いされているようで、羽毛布団の厚さ以上の、湿気を多く含んだ

もっとみる

三葉治の自己紹介

 新緑が輝きを増し、梅の実が大きく膨らむ頃、「三葉治」は誕生した。

 とある文豪の名を冠するその人物は、散歩中に梅の木を見つけて、そうして想像の任せるままに、ある文章を書き始めた。それが初の掌編小説『青梅』である。

 当時、死にたがりだった自身の想いと、毒物でもある青梅を題材にして小説を書き上げた。その出来栄えは、初心者であるが故の稚拙な文章であったが、自分でも文章を書けるという新発見、文章を

もっとみる