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不水溶性な日常

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少しのこと、たくさんのこと、いっぱい考えたこと…についてのエッセイ。 あんなことやこんなことを誰かと共有できたらいいなと思っています。
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2020年11月の記事一覧

かつて板上で泣いた日、今夜も変わらぬ目で泣く。

かつて板上で泣いた日、今夜も変わらぬ目で泣く。

今、真夜中の1時半を回ったところ。眠りたいのに眠れない。芝居を観た夜はいつもそうだ。それは若い時から変わらない。人の芝居というのは自分がやる芝居よりも脳が興奮してしまうらしい。数時間前まで客席の喧騒の中にいて、役者と同じくらいのテンションで、笑い、泣き、考え、台詞ひとつひとつを噛み砕いていく。そんな作業を無意識にしているのだから寝れないのも当然と言えば当然なのだけど。

設立当初から愛してやまない

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美人にはなれない、でもブスにもなりきれない。

美人にはなれない、でもブスにもなりきれない。

他人に対して、たとえ褒め言葉であっても面と向かって言ってはならないというのが世界的ルールとなってきた。「背が高くてかっこいいね」とか「髪がサラサラで素敵ね」とか「色白でキレイな肌ね」とか身体に関することは差別に繋がる可能性もあるということで、以前は何の躊躇もなく普通に言っていたけど今はダメ。そんな褒め言葉さえダメなのだから「ブス」「デブ」「ハゲ」「チビ」なんていうのは以ての外だ。

他人に容姿のこ

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少女らしさの因数分解

少女らしさの因数分解

私は少女っぽいことを嫌う少女だったと思う。記憶の中にそういう部類の楽しい記憶がほとんどない。かといって男の子っぽかといえばそんなこともなくて、子供の頃の写真を見返すと普通の女の子の風貌をしている。そもそも少女らしさってどういうことをいうのかと考えてみる。当時の友達たちは少女マンガを買ってその付録についている可愛らしいグッズを集めていた。そしてそれを友達同士で交換したり、その当時に好きだったアイドル

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ご機嫌よう、パンを食べよう特に意味もなく

ご機嫌よう、パンを食べよう特に意味もなく

街を歩いていると、探さなくてもパン屋に出くわす。お米が余っているというニュースが流れる中、世の中がお米からパンに移行してきているのがよくわかる。昔のパサパサのパンと違って美味しいパンが作られるようになってきたのも理由のひとつだと思うが、パンもブランド化して映える系の話題のパン屋の前にはいつも長い行列ができている。私が住む街はそういうパン屋の激戦区でもあり、雑誌やテレビで紹介されたパン屋が数多く点在

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酒飲み女のバラッド

酒飲み女のバラッド

大阪のど真ん中に位置する街のある一角に、通称「スペイン横丁」と呼ばれる通りがある。100メートルくらいあるその通りにはスペイン料理を出すバーや屋台がズラーっと並んでいる。そこが私の日々の酒場だ。そこにはだいたいひとりで行く。そしてよほど寒くない限りはの表の席に座り通りを眺めながら飲むのが好きだ。数人でワイワイと飲んでいる人たちもいるが、ひとりで飲んでる客も少なくない。ひとりを好む客のその理由は様々

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